2005 Fiscal Year Annual Research Report
アンチトロンビンの臓器保護作用の新しい側面の解明とその敗血症治療への応用
Project/Area Number |
17591891
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡嶋 研二 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60152295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内場 光浩 熊本大学, 医学部付属病院, 助手 (90315292)
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Keywords | アンチトロンビン / 臓器保護 / 敗血症 / 知覚神経 |
Research Abstract |
アンチトロンビン(以下AT)は、エンドトキシン投与によるラットの肺TNFmRNAおよびその蛋白濃度上昇、誘導型NO合成酵素(iNOS)mRNAおよびその活性上昇、血中NOx濃度上昇、および血圧低下を抑制し、抗ショック作用を有する。これらのATのショック抑制作用は、ラットをバニロイド受容体-1の活性化阻害物質であるカプサゼピン、およびカルシトニン遺伝子関連ペプチド(以下、CGRP)の拮抗物質であるCGRP(8-37)で、前処理すると消失した。また、ショックに引き続き、肝や腎に虚血再灌流性臓器障害が惹起されるが、ATによるマウス虚血再灌流性肝障害抑制作用、肝組織プロスタサイクリン濃度増加作用、肝TNF濃度上昇抑制作用、肝好中球集積抑制作用、さらに肝血流低下抑制作用は、野生型マウスでは認められたが、CGRPノックアウトマウスでは認められなかった。これらの事実は、ATによるエンドトキシンショック抑制作用、およびATによる虚血再灌流性臓器障害抑制作用が、知覚神経刺激を介している可能性を示している。また、今回の解析結果から、ATによる肝プロスタサイクリン産生促進作用も、知覚神経刺激作用を介している可能性が、示された。さらに、マウスから分離した脊髄後根神経節細胞のATによるCGRP放出は、内因性の刺激物質であるアナンダマイド存在下でのみ認められ、また、ATによる神経細胞内のprotein kinase Aの活性化によるcAMP濃度上昇が、ATのアナンダマイド存在下でのCGRP放出には、重要な役割を担っている可能性も示された。
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