2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンチトロンビンの臓器保護作用の新しい側面の解明とその敗血症治療への応用
Project/Area Number |
17591891
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡嶋 研二 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (60152295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内場 光浩 熊本大学, 医学部付属病院, 助手 (90315292)
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Keywords | アンチトロンビン / 虚血再灌流 / 重症敗血症 / 知覚神経 / インスリン様成長因子-I / アポトーシス |
Research Abstract |
アンチトロンビンの野生型(WT)マウス虚血再灌流性肝障害モデルに対する治療効果を検討すると、肝障害を軽減したが、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)ノックアウトマウス(CGRP-/-)マウスでは、全く肝障害を軽減しなかった。我々は、知覚神経刺激によりその神経末端から放出されるCGRPが、肝細胞や肝血管内皮細胞に作用して、細胞のアポトーシスを抑制するインスリン様成長因子-I(IGF-I)の産生を促進することを報告した。アンチトロンビンは、知覚神経刺激を促進することを明らかにしているので、アンチトロンビンは、肝IGF-Iの産生を促進して、肝障害を肝細胞のアポトーシスを抑制することで、軽減する可能性が高い。WTマウス虚血再灌流性肝障害モデルにアンチトロンビンを投与すると、肝IGF-I濃度が著明に増加し、肝細胞のアポトーシスが抑制された。しかしながら、アンチトロンビンによる肝IGF-I濃度上昇は、CGRP-/-マウスの虚血再灌流性肝障害モデルでは、認められなかった。これらの事実は、生理的抗凝固物質であるアンチトロンビンは、その抗凝固作用にくわえて、知覚神経刺激を促進して、IGF-I産生を促進し、臓器障害を軽減する可能性を示している。重症敗血症の病態形成には、臓器の細胞やリンパ球の過剰なアポトーシスが重要な役割を担うので、アンチトロンビンは、重症敗血症治療には有用な薬剤であると考えられる。
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