2006 Fiscal Year Annual Research Report
未固定・未脱灰切片によるセメント質の石灰化機序についての組織化学的研究
Project/Area Number |
17591900
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 恒之 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80200822)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土門 卓文 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (50217618)
高橋 茂 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (70241338)
|
Keywords | 無細胞セメント質 / セメント芽細胞 / 石灰化 / 骨シアロ蛋白 / オステオポンチン / アルカリフォスファターゼ / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
セメント質の組織学的および組織化学的研究では主として固定・脱灰切片が使用されてきた。しかしながら、固定・脱灰処理には基質成分の変化や流出という問題がつねにつきまとう。とくにカルシウムは脱灰切片では検出できない。これらを克服するには未固定・未脱灰切片の作製が不可欠となる。 我々は粘着フィルム法を用いてラット臼歯の未固定・未脱灰凍結切片を作製し、アゾ色素法によりアルカリフォスファターゼ(ALP)、glycol bis (2-hydroxyanil)(GBHA)染色法によりカルシウム、免疫組織化学染色により骨シアロ蛋白(BSP)とオステオポンチン(OPN)の局在を検索した。その結果、1)無細胞セメント質は象牙質の石灰化開始とほぼ同時にその表面に沈着し始める、2)形成初期の無細胞セメント質は線維に乏しくBSPとOPNに富む、3)無細胞セメント質形成開始時に、セメント芽細胞は強いALP活性を示し、歯根表面には直径1μm程度のGBHAに反応する穎粒(カルシウム-GBHA複合体)が出現する、4)無細胞セメント質に主線維が付着するにつれ歯根表面のALP活性は弱くなりGBHAに反応する顆粒の数も減少する、という所見を得た。 ラット無細胞セメント質の形成開始時には基質小胞と石灰化小球が出現するが、主線維が付着し始めてからは認められなくなることが明らかにされている。このことと考え合わせ、1)無細胞セメント質初期形成時にセメント芽細胞は基質小胞を放出し、これらから派生する石灰化小球がGBHA反応性穎粒として観察される、2)石灰化小球が無細胞セメント質の初期石灰化を引き起こす、3)主線維がセメント質に付着してからは、石灰化は主線維に沿って進み基質小胞は必要とされなくなる、と結論付けた。さらに、酵素反応と免疫反応のいずれも従来の固定・脱灰切片よりも未固定・未脱灰凍結切片の方がよく保存されることが示された。
|
Research Products
(3 results)