2008 Fiscal Year Annual Research Report
下顎頭軟骨等の二次軟骨形成を制御する転写因子、成長因子の検索
Project/Area Number |
17591901
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
柴田 俊一 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 教授 (80187400)
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Keywords | 下顎頭軟骨 / 二次軟骨 / IGF / 発生 / cartducin / IGFBP |
Research Abstract |
本年度はユビキタスな成長因子として知られているInsulin-like growth factor(IGF)とそのレセプター(IGFR)、およびその発現を制御しているIGF binding protein(IGFBP)の下顎頭軟骨形成過程における発現を検索した。その結果、胎齢14日において、IGF-IとIGF-IIのmRNAは下顎頭軟骨の原基である間葉細胞凝集の周辺部に発現が認められる一方、IGF-IR mRNAは間葉凝集の中心部に発現が認められた。胎齢15-16日において、IGF-IとIGF-IIのmRMAは形成された軟骨周囲の軟骨膜に発現が認められ、IGF-IRmRNAは軟骨上部の間葉細胞(増殖帯)に発現が認められた。さらに胎齢16日では関節円板の原基が間葉細胞凝集として、下顎頭軟骨の後上方に明瞭に認められ、IGFBP-4mRNAの発現がこの関節円板原基にも認められた。さらにIGFBP-2mRNAはこの関節円板原基に限局してその発現が観察された。以上のことから、IGF familyは下顎頭軟骨の形成、発育のみならず顎関節全体の発育を制御していると考えられた。 また、新規軟骨特異的増殖因子であるcartducinの発現をin situ hybridizationで検索したところ、軟骨形成直後の増殖帯に強く発現することが確認され、その機能を検索するためにantisense oligonucleotideを添加した組織培養の系を用いて発現を抑制したところ、軟骨膜の消失とそれに伴う下顎頭軟骨形成の抑制が認められた。またMeckel軟骨の軟骨膜が消失し、異所性の軟骨形成が生じていることも判明した。以上のことから、cartducinは軟骨膜の恒常性の維持に関係しており、軟骨膜/骨膜に由来するとされる下顎頭軟骨などの二次軟骨形成において、非常に重要な分子であることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)