2005 Fiscal Year Annual Research Report
上皮組織における基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン・パールカンの役割
Project/Area Number |
17591902
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
依田 浩子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 科研費研究員 (60293213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助手 (30397161)
佐藤 俊哉 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90359703)
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40207460)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
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Keywords | ヘパラン硫酸プロテオグリカン / パールカン / トランスジェニックマウス / 過剰発現 / 歯胚エナメル器 / 星状網 / 上皮内基質 / ケラチン5プロモーター |
Research Abstract |
上皮組織とくに歯胚および口腔粘膜の上皮構築における基底膜型ヘパラン硫酸プロテオグリカン・パールカンの役割を解明する目的で、今年度はパールカン上皮細胞過剰発現系トランスジェニックマウスの作製に着手した。上皮細胞に特異的に発現するケラチン5プロモーターにマウスパールカンcDNAを連結した導入遺伝子を作製し、コンストラクトの確認の目的で、ヒト上皮細胞にリポフェクション法にてトランスフェクションをおこなった。24・48・72時間後にRNAを抽出し、RT-PCR法にてパールカン遺伝子発現の変化を確認し、同時に培養細胞を抗パールカン抗体をもちいた間接蛍光抗体法にて細胞染色を施した。遺伝子添加群において、24時間後にパールカン遺伝子発現が上昇し、細胞質内にはパールカン蛋白質が蓄積していることが確認された。その後、導入遺伝子を調整し、マイクロインジェクション法にてB6C3F1マウス受精卵に注入し、パールカントランスジェニック(Tg)マウスを作製した。胎生期および出生後のTgマウス頭部組織について、パラフィン切片作製後、HE染色、各種細胞外基質分子の免疫染色、さらに電子顕微鏡観察により組織学的解析をおこなった。その結果、歯胚組織においては、胎生期Tg臼歯でエナメル器星状網の細胞間隙が著明に拡大し、同部にはパールカンが高度に沈着していた。エナメル器の形態変化とともに、エナメル器内の細胞分化にも乱れが生じていた。生後臼歯では、歯冠形態が鈍縁化し、同時に歯根離開も観察された。さらに、Tgマウス歯胚組織の遺伝子発現の解析結果より、出生前後で線維芽細胞増殖因子をはじめとする各種成長因子の遺伝子発現の上昇が確認された(研究発表1,2)。したがって、パールカンはエナメル器内の成長因子の発現調節に関わり、歯胚エナメル器細胞の分化と、歯冠および歯根形態の誘導に関与していることが示唆され、上皮細胞の産生するパールカンが歯胚形成へ重要な役割を果たしていることがあきらかになりつつある。
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Research Products
(5 results)