2006 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症に関与する咀嚼筋痛覚伝達ニューロンの特性の解明
Project/Area Number |
17591905
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森谷 正之 大阪大学, 大学院歯学研究科, 講師 (80303981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 篤 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (90201855)
竹村 元秀 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (70192169)
杉生 真一 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助手 (90397688)
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Keywords | 三叉神経節 / ATP受容体 / ニューロペプチド / 侵害受容 / 一次求心神経 / 咀嚼筋 |
Research Abstract |
咀嚼筋痛は顎関節症の診断上、重要な所見の一つである。しかし、咀嚼筋痛の伝達に関わる神経機構には不明を点が多く、その詳細が解明されれば、顎関節症の診断と治療に有益な指針を与えることが期待される。平成18年度は、咀嚼筋痛による行動上の変化と咀嚼筋痛覚を伝達する神経細胞の特性の変化を明らかにするため、ラットの咬筋にacidic saline(AS;pH 4.0)を注入し、それによる変化を観察した。その結果、ASの注入前には、咬筋組織内はpH 7.2-7.4であったが、注入後にはpH 6.5にまで低下し、注入10-15分後にはpHはAS注入前のレベルにまで回復していた。このように咬筋組織内でのpHの変化が認められたにも関わらず、ASの注入前後で頭部引っ込め反応閾値の有意な変化は認めなかった。また、三叉神経節内に存在する咬筋感覚伝達一次求心ニューロン細胞体でのcalcitonin gene-related peptideやsubstance Pなど、痛覚伝達に関与する物質の発現にも変化も認めなかった。本研究で適用したASの注入により、ラット腓腹筋など、脊髄神経の支配を受ける筋ではallodyniaを引き起こすことが知られている。そしてこのallodyniaには、ASIC3チャンネルの活性化が関与していることが報告されている。本研究の結果から、咬筋のpH変化に対する感受性が腓腹筋など、脊髄系の筋と異なっていることが示唆され、pHの変化に伴う炎症反応は、咬筋は腓腹筋とは異なった様相を呈するものと考えられる。 以上の結果と平成17年度に得られた結果とを総合すると、三叉神経の支配を受ける咀嚼筋と脊髄神経の支配を受ける筋とでは、侵害刺激に対する応答やその情報伝達様式に違いがあることが示唆された。
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Research Products
(2 results)