2005 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル芽細胞のタイトジャンクションと物質輸送の細胞生物学的解析
Project/Area Number |
17591909
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 敏男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河井 まりこ 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40379839)
佐々木 博之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60170693)
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Keywords | エナメル質 / エナメル芽細胞 / 細胞接着 / 細胞間輸送 / tight junction / claudin / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
エナメル芽細胞はエナメル質形成に際しCaイオンの輸送,エナメルタンパクの分泌ならびに脱却を行うが,これらの物質輸送には細胞間接着装置であるタイトジャンクション(TJ)が重要である。最近,TJの分子生物学的解析の結果,TJの構成タンパクはオクルディンとクローディン(CLD)からなり,特にCLDは20種類以上が知られており,且つ細胞・組織特異的な発現パターンを示し,特定の物質輸送に関連することが示唆されている。しかしながら,エナメル芽細胞のTJにおけるCLDの構成についてはほとんど分かっていない。本研究はエナメル芽細胞の物質輸送機構を明らかにすることを目的として,エナメル芽細胞のTJの分布・局在を調べ,さらに免疫組織化学的にTJ構成タンパクの同定を行った。微細構造学的にTJ分布を観察すると,形成期エナメル芽細胞は遠心端で発達していた。他方,成熟期のruffle-endedエナメル芽細胞(RA)では遠心端で,smooth-endedエナメル芽細胞(SA)では近心端でそれぞれ発達していた。次に,TJ構成タンパクのうちCLDのタイプを抗CLD-1からCLD-10を用いて免疫組織化学的に調べた。エナメル芽細胞は形成期と成熟期に分けて観察した。形成期ではCLD-1,8と9が発現し遠心端に陽性であった。成熟期ではCLD-6からCLD-10が発現し,反応性に強弱があるものの同様な染色パターンを示した。すなわち,近心端に陽性を呈する細胞集団と近心端に陽性を呈する細胞集団がみられた。これらに加え,近遠心両端に陽性を呈する領域がみられることもあった。CLD-2から-5はいずれも発現が認められなかった。まとめ:マウス切歯エナメル芽細胞に発現するクローディンのタイプが示されたと共に,形成期と成熟期でクローディン発現に相違があることが明らかとなった。今後他のクローディンの検出を試みると共にエナメル質形成における物質輸送とクローディンの機能について検索する。また,近遠両端に免疫反応が見られるものが存在したが,その意義について検索する必要がある。
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