2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における癌抑制遺伝子INGファミリーの機能解析
Project/Area Number |
17591911
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
GUNDUZ Mehmet 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70333507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 教之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90085770)
長塚 仁 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70237535)
玉村 亮 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00403494)
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Keywords | 口腔癌 / 癌抑制遺伝子 / INGファミリー / p53 / アポトーシス / 細胞増殖 / 機能解析 |
Research Abstract |
以前我々は癌抑制遺伝子であるINGファミリーメンバーのING1またはING3を世界初で同定した。ING1のsplicingバリアントであるING1bまたはING1c及びING3の機能解析を現在行っている。 今回以前に作製したFlagをタッグしているING1b、ING1cまたはING3の発現ベクターに単独またはp53発現ベクターとの併用トランスフェクションし、細胞増殖、アポトーシスを検討した。HEK293、SCCKN,HSC2,HSC3細胞にそれぞれの遺伝子を導入し、細胞増殖アッセイとしてTrypan Blue DyeアッセイまたはMTTアッセイによる結果では単独トランスフェクションの場合ING1b、ING1c、及びP53が細胞増殖を抑制した。一方併用処理の場合はING1 c-p53の組み合わせでの細胞増殖抑制効果が、更に上昇したが、ING1b-p53とING3-p53組み合わせの場合は抑制効果が有意的でなかった。FACSアッセイにより、アポトーシスの解析でも同じような結果が得られた。これらの実験により、ING1cの場合はp53依存的経路が重要で、ING1bまたはING3の場合はp53非依存的経路も大切であることが考えられた。 さらに抗癌剤の5-FU、Cysplatin、Etoposideを用いたところで上述された細胞株でING1b、ING1c、ING3、apoptotic(Bax)またはproapoptotic(Bc1-2)遺伝子のmRNA発現を検討したところ、薬剤または細胞株によって、apoptoticまたはproapoptotic反応の相違があった。これらの結果による、抗癌剤の効果メカニズムが異なることが分かった。現在これらの薬剤の効果メカニズムにより、遺伝子治療と併用利用が検討している。 さらに、以前検索したING3mRNAの症例数を増やして、臨床病理所見との検討を行った。その結果、ING3の腫瘍組織での発現は正常の場合に5年間の生存は60%であり、減少している患者の場合は40%であった。これらの結果によりING3が口腔癌含む頭頸部癌で予後因子として使用可能になっている。 ING1bの抗体を用いて、免疫染色を行ったところ、癌組織の部分でほとんどのサンプルではING1bは蛋白レベルでも低下していた。切片の一部で核以外に細胞質にも染色があったのでこれは更に検討する必要があると考えられた。 現在siRNAにより、遺伝子抑制の実験または動物実験の検討中である。
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