2006 Fiscal Year Annual Research Report
老化と歯牙喪失による咀嚼システムの機能低下を回復させる医療開拓のための基礎的研究
Project/Area Number |
17591913
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
前田 憲彦 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (60049418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末宗 節子 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (80112209)
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Keywords | 咀嚼システム / 老化 / 顎運動制御システム / ニューロン / 神経細胞新生 |
Research Abstract |
本研究は、咀嚼システムの発達・老化に関し、形態学的研究を基盤にして申請テーマに従い進められてきた。これらの研究を展開してきた背景には、先進諸国といわれる我が国における高齢化・超高齢化社会の到来という深刻な社会現象に対する認識が存在していることは言うまでもない。 今年度は、咀嚼運動制御中枢の発達・老化、および恒常性維持に影響を与える因子と顎運動制御中枢におけるニューロン数の加齢による動態を解析することにより、顎運動制御機構を再生するための基礎的問題点を明らかにするために、主として以下にしめすような研究をおこない、成果を得た。 (1)まず、正常なICRマウスを用いて、脳におけるニューロンの新生が見られる部位と見られない部位を特定するために、自由飲水によりBrdUを投与し、BrdUの取り込み細胞の存在を確認した。引き続きBrdUを取り込んだ細胞がどのような細胞の前駆体であるかについて、ニューロンの前駆細胞のマーカーであるDCX等のマーカーと細胞新生の指標となるBrdUの二重免疫組織化学等の方法を用いて解析した。その結果、咀嚼に関連した部位を含む中枢の様々な部位での細胞新生とニューロンの前駆細胞の存在を確かめた。今年度の研究で特に興味深い所見は、様々な行動制御に関与する黒質に細胞新生が認められたことである。 (2)上記の実験結果に基づき、新生ニューロン数の経日的変化を、出生後から老齢マウスに至るまでについて上記と同様の方法で解析した。その結果、若齢マウスはもちろん、数は減少するものの老齢マウスにおいても、従来報告されていた所見とは異なり、海馬、嗅球以外の多くの部位でニューロンの新生が確認された。 とくに、老齢マウスの脳においても、黒質を含む様々な部位で神経細胞の新生が見られたことは本研究における貴重な成果である。 以上の成果については現在論文としてとりまとめ中である。
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