2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔における唐辛子カプサイシンおよび温度感覚受容機構の解明
Project/Area Number |
17591916
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城戸 瑞穂 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (60253457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 旌旗 九州大学, 大学院・歯学研究院, 技術専門職員 (80380707)
田中 輝男 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (60077667)
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Keywords | 口腔感覚 / カプサイシン / 神経 / 温度感覚 / ラット / 痛み |
Research Abstract |
口腔粘膜を感覚器としてとらえ、唐辛子の主成分で脂溶性刺激物質であるカプサイシンが、口腔内でどのように受容されているか、また温度刺激をどのように受容しているのかを明らかにすることを目的として実験を行った。MAPK(mitogen activated protein kinase)は成長ホルモンや増殖因子の刺激によって活性化され、細胞を増殖や分化に導くことは良く知られている。近年になって、このMAPKの活性化機構が神経の可塑性に大きく関与していることがわかってきた。さらに、脊髄では侵害受容ニューロンに特異的にMAPKのリン酸化が起こることが報告されている。そこで、このMAPKの中でも古典的MAPKであるERK(extracellular signal regulated kinase)のリン酸化を指標として、カプサイシン刺激により起こる変化を検索した。実験には6〜8週齢の雄性ラットを用い、ラットの口腔に、カプサイシン溶液または溶媒のみを口腔内に投与し、即座に灌流固定をおこなった。何も投与していない動物も対照実験に加えた。その後凍結切片作製、免疫組織化学的にリン酸化ERK特異的抗体を用いて、蛍光抗体法により染色をした。ラット口腔内へのカプサイシン刺激によりリン酸化ERK発現神経の増加が確認できた。リン酸化ERK発現神経は口腔粘膜の固有層から上皮内に認められた。また興味深いことに、味蕾内の神経にも発現していたことから、これまで別であると信じられてきた味刺激の伝達と侵害刺激の伝達が、必ずしもそうではない可能性がでてきたとも考えられる。さらに免疫組織化学により侵害受容神経のマーカーとしても知られている、カルシトニン遺伝子関連ペプチドやATP受容体などとの共存も認められた。今後さらに味刺激や温度刺激との関係も調べていく予定である。
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