2005 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞性骨吸収過程の小胞輸送におけるPI3-キナーゼの機能解析
Project/Area Number |
17591917
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西嶋 克司 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00136508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 瑞穂 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (60253457)
田中 輝男 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (60077667)
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Keywords | 破骨細胞 / 骨吸収 / 小胞輸送 / PI3-キナーゼ / 膜タンパク |
Research Abstract |
マウス骨髄細胞をmacrophage colony stimulating factorとreceptor activator of nuclear factor k B ligandで誘導した細胞を破骨細胞様細胞として実験に供した。蛍光二重染色法にて、破骨細胞様細胞におけるcathepsin K(CathK)ならびにcystatinC(CysC)の局在を解析したところ、細胞内にはCathKまたはCysCに陽性を示す大小の顆粒状構造物が観察された。また大きな顆粒状細胞内構造物においてCathKとCysCとの共存していた。酸向性プローブN-(3-((2,4-dinitrophenyl)amino)propyl)-N-(3-aminopropyl)methylamine,dihydrochloride(DAMP)が酸性環境下でdinitrophenyl(DNP)を形成する特徴を生かし、培地にDAMPを添加して、DNPとCathKまたはCysCの局在関係を蛍光二重染色法で解析した。破骨細胞様細胞内の大きな顆粒状構造物においてDNP/CathKまたはDNP/CysCの共存関係が観察された。さらに初期ならびに後期エンドソームの各膜タンパクのマーカーであるearly endosome assosiate protein 1(EEA1)とlysosomal assosiate membrane protein 2(LAMP2)とのCathKまたはCysC、DNPの局在関係を検索した。LAMP2はCathKまたはCysCと共存していたが、EEA1とは認められなかった。またLAMP2はDNPに対しても陽性を示していた。培養系にphosphatydil inositol 3 kinase(PI3-kinase)阻害剤であるwortomannin(WT)を添加し、CathKとCysCの破骨細胞内での分泌過程におけるPI3-kinaseの関与を解析した。破骨細胞様細胞にWTを10分作用させると、CathKとCysCとの細胞内での共存は認められず、ともに小顆粒状構造物に限局していた。WT作用30分後では、CathKとCysCは共に独立した大顆粒状構造物に局在していた。電子顕微鏡による観察では、WT作用により刷子縁が消失し、作用後10分では、細胞内での小胞の貯留が、作用後30分では空胞の形成が観察された。WT作用後では、CathKまたはCysCとLAMP2またはDNPとの共存関係も解消され、独立した構造物に局在していた。以上の事から、破骨細胞内で合成されたCathKまたはCysCは、酸性後期エンドソームに輸送され、骨面に分泌される事が明らかとされた。また、この後期エンドソームへの輸送過程においてPI3-kinaseが関与している事が示された。
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