2006 Fiscal Year Annual Research Report
もう一つのヒトう蝕原因菌で遅れている遺伝子機能解明への一つのアプローチ
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17591925
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 裕 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (70085827)
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Keywords | mutans streptococci / グルカン / 凝集 / 細胞壁アンカータンパク / gbpC遺伝子 / グルカン結合タンパク / Streptococcus sobrinus / dbl遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトう蝕に重要なS.sobrinusでgbpC遺伝子ホモログが予想外にも2つ存在するらしいことが昨年度わかり,その特徴付を一部行った.そして,この2つのホモログのうち,S.sobrinusの顕著な特徴であるグルカン依存性凝集に関与する遺伝子はgbpC遺伝子ではなく新規遺伝子dblであることを報告した.その根拠のひとつは,リコンビナントGbpCタンパクがα1,6グルカンに結合活性がないことであった.このことから,GbpCタンパクはS.sobrinusの不溶性グルカンを構成するα1,3グルカンへの結合性を持つことも考えられ,その結合活性を調べたが認められなかった.一方,GbpC, Dbl両タンパクそれぞれに対する抗血清を調製し,S.sobrinusの細胞壁と培養上清において上記タンパクの検出を行ったところ,S.sobrinusの標準菌株である6715株の派生株であるK1R株の培養上清から,セファデックスに結合し,抗GbpC血清に反応するタンパクが強く検出された.そしてリコンビナントGbpCタンパクがセファデックスに結合し精製することが出来ることを確認した.即ちGbpCタンパクはα1,6グルカン架橋レジンであるセファデックスに結合するが水溶性のα1,6グルカンには結合能がないという一見矛盾した結果ではあったが,このことは,GbpCタンパクは分枝を持ったα1,6グルカンにのみ結合するのかもしれないことを示唆している.また,上記K1R株は6715株と異なり凝集を示さない.そこでこの株のgbpCおよびdbl遺伝子の塩基配列を6715株と共に決定したが,両遺伝子の塩基配列は6715株のものと100%同一であった.K1R株は別の遺伝子の変異のためグルカン依存性凝集能を欠失したと考えられ,その最も有力な候補遺伝子であるソルターゼ遺伝子の塩基配列を解析したところその5'側1/3の部位にフレームシフト変異が検出された.K1R株はソルターゼ活性の欠失のためDblタンパクを細胞壁に繋ぎとめることが出来ずグルカン依存性凝集を示さなくなったと考えられた.
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Research Products
(2 results)