2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウス有根歯・常生歯の萌出開始シグナルと分子制御機構
Project/Area Number |
17591929
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 かおり 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (90287772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田谷 雄二 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教授 (30197587)
島津 徳人 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (10297947)
柬理 頼亮 日本歯科大学, 生命歯学部, 助手 (40366761)
青葉 孝昭 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (30028807)
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Keywords | 歯学 / 病理学 / 発生・分化 / 歯胚 / 歯根形成 / 萌出 / ヘルトヴィッヒ上皮鞘 / 立体構築 |
Research Abstract |
歯根形成の開始時には、歯冠形成を終えた内外エナメル上皮が歯頸部で屈曲し、その上皮先端が伸展して歯乳頭と歯小嚢を隔てるヘルトヴィッヒ上皮鞘(HERS)に分化する。本年度においては、マウス臼歯の歯根形成期におけるHERSの機能的役割とその運命を探る目的で、歯根形成開始から対合歯との咬合に至る萌出過程を通した上皮細胞の表現型の推移を免疫組織化学により検討した。免疫染色によるサイトケラチン陽性を上皮マーカとした組織立体構築に時間軸を加えた4次元形態観察により、歯根と歯根膜空間でのHERS由来の上皮細胞の空間局在を視覚化した。さらに、HERS由来の上皮細胞の動態と運命を明らかにする目的で、上皮細胞の組織立体構築像のうえで歯根表面との位置関係に基づき上皮細胞集団を分画する3次元形態計測法を確立し、局在位置別での細胞計測によりHERS由来の上皮細胞集団の動態を解析した。その結果、HERSは歯髄腔と歯根膜腔を隔壁するとともに、FGF産生を介して象牙芽細胞系譜の分化誘導に働くことが確かめられた。HERS増殖活性の維持と停止にはEGF、IGFの刺激受容が関わっており、上皮形質や細胞活性の維持にはセロトニンによる刺激受容との関連が示唆された。HERS由来の上皮細胞の運命として、歯根表面では上皮細胞は互いに連結したネットワークを維持することなく、大小の細胞集団として分散すること、その一部は細胞間接着分子の発現停止と基底膜分解をともない歯根膜腔へ遊離し、有細胞性セメント質の形成時期では上皮形質を保ってセメント基質に埋入されることを確かめた。歯根膜組織に遊離したHERS由来の上皮細胞は、一部はラミニン陽性の基底膜に囲まれてマラッセ上皮遺残として存続するとともに、基底膜を失った上皮細胞は上皮間葉転換に至ることが推定された。
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Research Products
(3 results)