2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規骨吸収リスクファクターとして同定した蛋白の歯槽骨破壊に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
17591932
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
新飯田 俊平 National Institute for Longevity Sciences,NCGG, 運動器疾患研究部, 室長 (10137630)
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Keywords | γ-GTP / 破骨細胞 / 骨吸収 / 歯槽骨 / 歯周病 |
Research Abstract |
新規骨吸収因子として同定したy-GTPは歯周炎などの炎症性骨破壊のリスク因子であると仮定し、その検証を行ってきた。平成19年度に得られた研究成果は以下の通りである。 1.炎症組織で発現するγ-GTPの局在が不明であった。免疫細胞化学的検討により、多くはCD45^+陽性B細胞およびCD20^+陽性T細胞に局在が認められた。 2.γ-GTPが骨吸収抑制の標的になるか検討した。抗γ-GTPモノクローナル抗体を作製し、関節炎モデルマウスに投与した。炎症部位における破骨細胞数の減少、骨破壊の減弱が観察された。炎症細胞の発現するγ-GTPは明らかに骨破壊リスクであることを示しいている。 3.γ-GTPは細菌から哺乳類まで保存されている。歯周炎を想定し、細菌γ-GTPを遺伝子組換え技術で精製し、骨髄培養系に添加した。この細菌のγ-GTPは強力な破骨細胞誘導活性を示した。 4.種々の口腔内細菌18株のほとんどがγ-GTPを変生していることを確認した。このことは、歯周炎においては炎症細胞の産生するγ-GTPのみならず、細菌γ-GTPも歯槽骨破壊に関与している可能性が示唆される。 5.歯周炎原因菌のひとつであるT. denticola(T.d.)のγ-GTP遺伝子配列は既知となっている。遺伝子組換え型T.d.-γ-GTPを作製し検討した。T.d.のγ-GTPには培養系における破骨細胞誘導活性は認められなかった。この細菌のγ-GTPはヒトγ-GTPのアミノ酸配列に比べ、酵素活性部位以外の相同性が極めて低いことから、T.d.のγ-GTPには破骨細胞誘導活性ドメインが欠落している可能性が推察された。 6.主要歯周炎原因菌であるP. gingivalisのγ-GTPについても検討したいと考え、その精製を試みたが今回は成功に至らなかった。今後、再度精製を行う予定である。 7.研究成果の一部は骨代謝関連の専門誌に掲載した。
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