2006 Fiscal Year Annual Research Report
摂食亢進ペプチドによる味覚嗜好性発現と食物受け入れ促進作用の機能連関の解析
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17591936
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80161967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 剛一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40263610)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20240872)
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Keywords | グレリン / ニューロペプチドY / メラニン凝集ホルモン / 胃 / 弛緩 / 味覚嗜好性 / 延髄 / 迷走神経 |
Research Abstract |
前年度の研究で、ニューロペプチドY(NPY)は尾側迷走神経背側複合核群のニューロンに作用して胃近位部の弛緩をもたらすこと。それらの作用は迷走神経節後線維の抑制を介して発現することが明らかとなっていた。本年度は摂食亢進ペプチドであるグレリンおよびメラニン凝集ホルモンの、胃近位部弛緩におよぼす作用を検討した。その結果、メラニン凝集ホルモンは胃運動性に全く効果をもたなかった。一方、グレリンの第四脳室内投与はニューロペプチドYと同様に胃近位部弛緩をもたらした。この弛緩はグレリン受容体を介して生じることが明らかとなった。さらに延髄内へのグレリン微量注入により、中間部よりもむしろ尾側迷走神経背側複合核群のニューロンに作用して胃近位部の弛緩をもたらすこと、それらの作用は迷走神経節後線維を介して発現することが明らかとなった。これらの実験とこれまでの研究をあわせると、摂食亢進ペプチドのうち、ニューロペプチドY、オレキシンA、グレリンは胃近位部弛緩をもたらし、メラニン凝集ホルモンは何ら作用をもたらさなかった。これらのペプチドを覚醒下のラット側脳室内に投与し甘味嗜好性におよぼす効果を検討した。その結果、ニューロペプチドY、オレキシンA、メラニン凝集ホルモンの投与により甘味溶液の摂取量が増加した。甘味溶液摂取時には、ニューロペプチドY、オレキシンAの脳内mRNA量が増加することが明らかとなった。オピオイド受容体のアンタゴニストであるナロクソンの前投与でニューロペプチドYやオレキシンAの嗜好性発現におよぼす効果が消失した。これらの結果から摂食亢進ペプチドのうち、ニューロペプチドYとオレキシンAが甘味嗜好性の発現に関与することが明らかとなった。胃運動性の研究結果と合わせ考えると、胃近位部弛緩は嗜好性の高い食物の過剰摂取の受け入れに関与している可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)