2005 Fiscal Year Annual Research Report
過分極作動性チャネルの中枢神経系における活性と生体制御機能の解析
Project/Area Number |
17591937
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舩橋 誠 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80221555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 千春 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10253022)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20240872)
十川 紀夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30236153)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
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Keywords | 最後野 / 脳スライス / 過分極作動性カチオン電流 / パッチクランプ法 / ラット |
Research Abstract |
本研究は中枢神経系において検出される過分極作動性カチオンチャネル(Hチャネル)の活性制御機序と生理機能について明らかにするために行った。これまでの我々の研究により、Hチャネルの発現が知られる脳内神経核のなかで,延髄最後野においてはその発現率が高く,約60%以上のニューロンからHチャネルの活性が検出されることが明らかになっている。しかし,酵素処理を加えて急性単離された最後野ニューロンにおいてはHチャネルの活性が報告されておらず,急性スライス標本を用いることの有用性が認められる。本研究は,最後野におけるHチャネル活性を示すニューロンとHチャネル非活性を示す最後野ニューロンの細胞形態とそれらの分布について,ニューロバイオチントレーサーを用いた免疫組織化学的手法により明らかにした。Hチャネル活性を示すニューロンの細胞体は比較的小型のものが多く,平均直径が10.4±1.2ミクロン,Hチャネル非活性を示し,遅減衰型一過性外向き電流が検出される最後野ニューロンでは13.9±1.8ミクロンで,統計学的に有意差が認められた。細胞体からは2つの樹状突起と1本の軸索が起始し,軸策は樹状突起と比べて有意に細い像を呈していた。いくつかの細胞はその樹状突起を弧束核内に100ミクロン程度延ばしているものが検出された。従来,小型で均一な細胞形態とされてきた最後野ニューロンだが,膜特性の違いに相関した形態の違いが見いだされたことになる。また,Hチャネル活性を示す最後野ニューロンの樹状突起が弧束核に至っていることから,弧束核に投射する迷走神経の求心性情報を直接受けている可能性が示唆された。今後はHチャネル活性を示す最後野ニューロンのATP感受性および弧束膠様核ニューロンとの神経連絡について検討を重ねる予定である。
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