2006 Fiscal Year Annual Research Report
過分極作動性チャネルの中枢神経系における活性と生体制御機能の解析
Project/Area Number |
17591937
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
舩橋 誠 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (80221555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
十川 千春 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10253022)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (20240872)
十川 紀夫 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (30236153)
松尾 龍二 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
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Keywords | 最後野 / 脳スライス / 過分極作動性カチオン電流 / パッチクランプ法 / ラット |
Research Abstract |
本研究ではスライスパッチクランプ法を用いて,Hチャネル(過分極作動性カチオンチャネル)活性を示す最後野ニューロンと,Hチャネル非活性を示す最後野ニューロンのいずれであるかを同定後,それぞれのグループのATPに対する感受性を明らかにした。これまでの我々の研究により,Hチャネルの発現が知られる脳内神経核のなかで,延髄最後野におけるその発現率は高く,約60%以上のニューロンからHチャネルの活性が検出される。しかし,酵素処理を加えて急性単離された最後野ニューロンにおいてはHチャネルの活性が報告されておらず,急性スライス標本を用いることの有用性が認められる。本研究では,最後野を含む前額断脳スライス(厚さ150μm)を作製し,パッチクランプ法を用いてホールセル記録を行い,TTX存在下にてATP(<1mM)を還流液中に投与することにより誘発される膜電流および膜電位の変化について調べた。最後野ニューロンの60%(n=52/86)がATPに対して応答を示し,1)著明な内向き電流誘発(n=26),2)著明な外向き電流誘発(n=1)3)持続的な膜電流変化は少なく,mEPSCの頻度が著明に増加(n=24)であった。ATPに誘発される膜電位の脱分極は11.5±3.2mV(n=13)および過分極6.7±0.2mV(n=2)であった。Hチャネル活性を示さないニューロンの方がATPに対する膜電位の変化が5倍以上大きい値を示した。また,過分極応答はHチャネル活性を示さないニューロン(n=2)にのみ観察された。これらより,最後野ニューロンの活動制御に,シナプス後部またはそれ以外の細胞表面およびシナプス終末部に存在するATP受容体が重要な働きをしていることが明らかとなった。
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