2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性遺伝子発現におけるp38MAPキナーゼの役割
Project/Area Number |
17591949
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
大森 喜弘 明海大学, 歯学部, 教授 (50194311)
|
Keywords | ケモカイン / 転写因子 / リン酸化 / MAPキナーゼ / NF-κB / STAT / LPS / interferon |
Research Abstract |
リポ多糖(LPS)やインターフェロンガンマー(IFNγ)は、マクロファージ活性化因子としてケモカインなどの炎症性遺伝子の発現を誘導する。この転写活性化にはNF-κBやSTAT1などの転写因子が関与するが、この転写制御にLPSやIFNγによって活性化されるリン酸化酵素がどのような役割を果たしているのかは十分には明らかにはされていない。本研究課題では、LPSとIFNγによって相乗的に誘導されるケモカイン遺伝子CXCL9の転写制御におけるp38MAPキナーゼ(p38MAPK)の役割を検討するため以下の解析を行った。 1)p38MAPKが核内においてLPSによって誘導されるNF-κB依存性転写活性を制御しているのか検討するため、Gal4のDNA結合領域にNF-κB RelAの転写活性化領域を結合させた発現ベクターを作製し、マクロファージ様RAW264.7細胞にGal4の結合配列をもつレポーター遺伝子とともにトランスフェクションし、ルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、LPS刺激により、RelA依存性の転写活性は増強し、その転写活性の増強はp38MAPKの阻害剤によって抑制された。Gal4のDNA結合領域は、恒常的に核内に移行することから、LPS刺激により活性化したp38MAPKあるいはその下流の制御因子が核内でRelA依存性転写活性を増強している可能性が示唆された。 2)p38MAPKがLPSとIFNγによって相乗的に誘導されるCXCL9遺伝子のプロモーター上でのエンハンソームの形成に関与しているのかクロマチン免疫沈降法を用いて検討した。その結果、LPSとIFNγとの共刺激によりSTAT1、RelAならびにコアクチベーターCBPのリクルートが相乗的に増強し、この増強作用はp38MAPKの阻害剤によって抑制された。この結果は、LPSとIFNγによるCXCL9遺伝子プロモーター上でのエンハンソームの形成に、p38MAPKが関与していることを示唆する。 以上の結果より、p38MAPKは、LPS、IFNγによるNF-κBならびにSTAT1を介したCXCL9遺伝子の転写制御に関与し、核内におけるRelAの転写活性の制御、またCXCL9遺伝子プロモーター上でのエンハンソームの形成に関与していることが示唆された。一方、p38MAPKが直接CXCL9遺伝子のプロモーター上にリクルートされ、直接転写因子ののリン酸化に関与しているかについては十分な知見が得られなかった。
|
Research Products
(2 results)