2005 Fiscal Year Annual Research Report
塩素イオン透過機能を持つ新規rCLCA分子の唾液腺における局在と生理機能の解明
Project/Area Number |
17591958
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
山崎 純 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (50230397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 和彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (00224056)
石橋 一成 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (50122768)
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Keywords | 顎下腺 / Ca^<2+>活性化Cl^-チャネル / 唾液分泌 / CLCA / 導管 / Cl^-輸送 / N型糖鎖 / 口腔乾燥症 |
Research Abstract |
近年,唾液分泌の維持が高齢者のQOLを考える上で重要な課題とされてきている.唾液生成に於いて唾液腺上皮細胞の水輸送やそれを駆動するCl^-輸送機能が重要であることが報告されている.そこで,口腔内のCl^-輸送に関与する分子を明らかにする目的で,ラットからクローニングしたCLCA(rCLCA)の組織局在と機能を調べ,タンパクの性質を強制発現系にて検討した.rCLCAタンパクは903アミノ酸残基と推定され,マウスCLCA(mCLCA)1と2の配列に相同性が高かった.rCLCA cDNAを導入したHEK293細胞の可溶性膜画分から,N型糖鎖が付加された120kDaと86kDaのタンパク(後者が主な成分)がイムノブロット法によって検出された.免疫細胞染色やビオチンによる膜表面標識法により,86kDaタンパクの細胞膜での局在が明らかになった.免疫組織染色法により,顎下腺,舌下腺においては導管系上皮の細胞表面(管腔側)および細胞内にrCLCAタンパクの発現がみられた.特に,線条部/顆粒管レベルの小葉内の小導管に最も強い陽性像がみられた.顎下腺のrCLCAタンパクはリコンビナントタンパクと同様にN型糖鎖付加を受けることが示された.さらに,rCLCAを導入したHEK293細胞は,niflumic acid感受性の外向き整流性Ca^<2+>活性化Cl^-透過機能を有した.rCLCA siRNAを片側の舌下乳頭の唾液腺開口部に逆行性に注入したラットにおいて,ムスカリン受容体刺激により分泌される同側顎下腺由来の唾液Cl^-濃度が対照側に比して有意に増加した.以上の結果から,rCLCAは唾液腺導管上皮細胞に発現してCl^-再吸収に関与することによって,最終唾液の低張化などの唾液分泌の恒常性に寄与すると考えられた.高齢化に伴って口腔乾燥症は増加することが予測されるため,唾液生成におけるCl^-チャネル関連タンパクの関与について更に研究を進め,口腔内でのイオンあるいは水輸送を亢進又は阻害する薬物の探索に発展させることが必要であると思われる.
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