2006 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌細胞のアポトーシスにおける核内蛋白ダイナミクスと放射線感受性
Project/Area Number |
17591971
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
森本 泰宏 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (00275447)
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Keywords | アポトーシス / 核内蛋白 / AgNORs / ニュークレオリン / 蛋白質脱リン酸化酵素 / ニュークレオフォスミン |
Research Abstract |
蛋白質脱リン酸化酵素I型及びIIA型を阻害することにより、細胞内を高リン酸化状態にすると口腔癌細胞にアポトーシスが誘導される。このstimulatorにより誘導された口腔癌のアポトーシス細胞では増殖活性を示すAgNORsが消失した。それに伴って、110kDaの分子量を持つ核内蛋白AgNOR proteinが消失し、80kDa AgNOR proteinが出現することを発見した。この細胞内にて行われる核内蛋白の変化を蛋白レベルで解析するためcell-free systemを用いて検討した。その結果、110kDaのAgNOR蛋白の消失及び80kDa蛋白の出現はDNA ladder formationとリンクしていることが示された。そこで、今回我々は口腔癌細胞を用いて抗癌剤投与及び紫外線照射により誘導されるアポトーシスにおいて同様の変化の有無を検討した。その結果、抗癌剤投与を行いアポトーシスを誘導させた細胞ではAgNORsの消失、110kDaのAgNOR proteinの消失と80kDaのAgNOR proteinの出現が認められた。しかも、ニュークレオリンモノクローナル抗体を用いたWestern blotting法及び免疫組織化学の結果から110kDa及び80kDaの蛋白はどちらともニュークレオリン蛋白であることが同定された。更にcell-free apoptosis systemを用いたタンパクレベルでの解析から、上記経過はDNA ladder formationが惹起する時間と極めてリンクしていた。我々はこの結果から上記所見がアポトーシス細胞における普遍的変化の指標となりうるものである可能性を報告した(Kito et al. J Oral Pathol Med,2005)。以上の結果から、我々はニュークレオリン含む細胞内核内蛋白の変化がアポトーシス実効機構において、極めて重要な役割を示すことを考察した。これらの変化は紫外線照射により誘導されたアポトーシス細胞でも生じることが確認された(MorimotoY et al.in preparation)。一方、in vivoにおける実験モデルとして、ヒト舌癌由来の細胞株(VX2)を兎の下顎歯肉に移植し下顎歯肉癌を惹起させる実験系を作成し、放射線照射によりアポトーシスの惹起に成功した。培養細胞中で生じたニュークレオリンの分解は、in vivoの実験モデルから得られた組織抽出液でも検出された。以上の結果はニュークレオリンの分解がアポトーシス誘導を簡易に表す指標になりうることを意味するものである。今後は、患者から得た口腔癌細胞株でも同様の研究を行っていく予定である。
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Research Products
(7 results)