超小型コードレスブラキシズム解析システムの開発によるスプリント療法の有効性の検証

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17592012
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 山口 泰彦 北海道大学, 病院, 助教授 (90200617)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小松 孝雪 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90271668) ; 佐藤 華織 北海道大学, 病院・助手 (40281828) ; 井上 農夫男 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20091415) ; 岡田 和樹 北海道大学, 病院・医員 (70399856)
• Keywords: ブラキシズム / 歯ぎしり / 筋電図 / コードレス / 顎関節症 / スプリント療法 / 咬筋

Research Abstract

スプリント療法の夜間ブラキシズムの抑制効果については,いくつかの説が混在し,結論は出ていない.その理由に一つとして,これまでの夜間ブラキシズム測定システムにはいくつかの問題点があったことがあげられる.そこで,本研究では無拘束の超小型コードレスブラキシズム解析システムを開発し,平常の睡眠状態での夜間睡眠時の筋活動の正確な測定を実現することによりスプリント療法が顎関節症に対し有効か否かを夜間ブラキシズムの抑制効果の観点から明らかにすることとした.17年度は本システムの開発,測定精度の検証を行った.
1.システムの概要
ブラキシズム計測システムBMS-601(原田電子工業株式会社製)は,電極,増幅アンプなどを一体化した類三角形の超小型送信ユニットと2chの受信ユニットからなる.周波数特性10〜500Hz,分解能8bit,サンプリング周波数1kHzのデジタル信号で受信器に無線送信されCFカードメモリに記録される.
2.測定精度の検証
健常ボランティアを対象として,咬筋部に送信ユニットを貼付し以下の測定を行った.
1)本装置と従来型のポリグラフを用いた場合の各種顎運動時の筋電位を比較した.何れの運動においてもBMS-601の波形はポリグラフの波形と同様に明瞭であり活動状態を十分認識できた.また,最大咬みしめ時のRMS値を測定したところ両システム間に高い相関が見られた.
2)睡眠時を想定して枕に頭部を乗せた状態で各種筋活動を記録した.また,左右に寝返り時の筋電図データも採取した.その結果,睡眠時の姿勢による筋電図波形への影響は少なかった.
3)家電製品稼働環境下で筋電位を計測した結果,送受信ユニット間距離100cm以下では問題なく受信可能であった.
以上の結果から本装置は超小型,無拘束でありながら咬筋の筋活動を十分に把握できる精度を有し,夜間睡眠時のブラキシズム測定に適することが示された.