2006 Fiscal Year Annual Research Report
革新的な要介護高齢者用軟質レジン床義歯の開発に関する研究
Project/Area Number |
17592017
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
永井 正洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (10013971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (70108223)
門磨 義則 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00092403)
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30126263)
小山 富久 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (70361714)
石綿 勝 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70292985)
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Keywords | 高齢者 / レジン床義歯 / 義歯粘膜側軟質レジン層 / EHMA-MMA共重合体 / 軟らかさ係数 / 緩和応力速度 / 圧縮後寸法回復率 / 硬質 / 軟質レジン複合化構造 |
Research Abstract |
我々は、高齢者の新規入れ歯の設計コンセプトとして、粘膜への刺激を和らげることを優先させ且つ適度の咀嚼力をも確保できることを念頭において、新規軟質レジン床義歯の開発を行なっている。先年度は、その軟質レジンとして、組成比の異なるメタクリル酸2-エチルヘキシル(EHMA)-メタクリル酸メチル(MMA)共重合体に注目し、圧縮特性に関するEHMAの効果について調べ、義歯床用軟質レジンとしての有効性が示唆された。そこで、今年度は、入れ歯の設計コンセプトを考慮して、軟質レジンの軟らかさ、応力緩和挙動および圧縮後寸法回復挙動に関する力学的特性について、さらに詳細な基礎的検討を行なった。軟らかさは、押込み方式を採用し、その直後に、最大押込み荷重の応力緩和挙動を測定した。そしてその時間軸を対数目盛で表すと直線近似することができ、その実験式の勾配を緩和応力速度とし、応力緩和挙動の指標値とした。圧縮後寸法回復挙動は、5%、15%圧縮ひずみ負荷後、直ちに除荷し、その寸法回復挙動をレーザー式寸法測定装置により30秒間測定した。その結果、軟らかさ係数は、EHMAの組成比が80%を超えると指数関数的に増大し、EHMAの効果は顕著であった。緩和応力速度は、EHMAの組成比が60%以上の範囲ではほぼ同様であり、満足のゆく応力緩和現象が得られた。圧縮後寸法回復挙動について観察すると、5%圧縮ひずみにおいては、EHMAの組成比が60%、70%のものは弾性的回復挙動を示し、80〜100%のものは粘弾性的回復挙動を示した。しかし、15%圧縮ひずみにおいては、70%以下の組成比のものは回復にかなりの時間を要する傾向を示した。以上の結果から、このような軟質レジ層を粘膜面に応用した入れ歯は、従来の床用レジンとは異なる粘膜とのソフトな支持圧力が考えられ,疼痛や褥瘡性潰瘍を生じさせ難い効果が期待できることが示唆された。
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