Research Abstract |
オールセラミッククラウンでは,材料の強度不足だけでなく,気泡などの内部欠陥も破折の原因になると考えられるが,これまではクラウンの破折試験による検討が行われているのみで,内部欠陥に関する検討はなされていない.そこで,マイクロフォーカスX線CTを用いて,気泡などの内部欠陥の形や大きさ,位置を非破壊的に分析した. 実験は,上顎左側第-大臼歯のエポキシ模型をテーパー6度になるように支台歯形成を行った後,シリコーン印象材および超硬石膏にて副模型を12個作製した.そして,各石膏模型から4種の歯冠修復物(Angel Crown (Media), Procera Allceram (NobelBiocare), IPS Empress (Ivoclar Vivadent), Estenia Crown (クラレメディカル))を3個ずつ作製した.作製したクラウンをマイクロフォーカスX線CT装置(SMX225CT-SV,島津製作所)で撮影した.得られた画像データを三次元ボリュームモデル生成ソフトウェア(VGStudio MAXI.2, Volume Graphics)およびアドオンソフト内部欠陥分析ツールを用いて,気泡の大きさおよびその発生部について解析した. その結果,セラミックブロックを切削加工するAngel Crownには大きな気泡は認められなかった.しかし,0.2×0-3mm^3以下の小さな気泡が認められた試料もあったことから,セラミックブロック内にも気泡が存在することが明らかとなった.Proceraでは,CAD/CAMによって作製されたコーピング部には内部欠陥が存在しなかったが,手作業で築盛焼成したベニヤポーセレンの部分には30個余りの気泡が認められた試料もあった.Empressでは,形・大きさの異なる気泡が咬頭付近に数多く存在した.Esteniaでは形・大きさの異なる多くの内部欠陥が認められた.特にエナメルレジンとデンチンレジンの境界部に多くの空隙様の層が認められた. 本実験結果より,CAD/CAMにより作製されたオールセラミッククラウンは内部欠陥が少なく,試料間でのばらつきも少ないことがわかった.一方,手作業でポーセレンを築盛する部分では,内部欠陥が多く見られること,また試料によって大きさ,数,場所にばらつきが見られることが示された.以上,マイクロフォーカスX線CTを用いることで,非破壊的に内部欠陥の存在などを知ることができた.本装置を臨床の場において簡便に使用することができればメタルフリークラウンの破折をより減少させることができると考えられた.
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