| Research Abstract |
本研究課題に対する本年度の研究成果は以下の通り.
本年度は,固定性補綴装置における長期臨床成績の追跡を目的とし,研究に先立って研究打ち合わせを行った.打ち合わせの結果,固定性補綴装置としては金銀パラジウム合金製接着ブリッジを選択することとし,長崎大学医学部・歯学部附属病院(以下,長崎大学病院と略)において装着された同ブリッジについて初年度に継続し臨床調査を行い,その生存分析を行って臨床評価を行った.
対象となる接着ブリッジは,金属被着面を貴金属接着性プライマーで処理後,レジンセメント(スーパーボンドC＆B)にて装着した接着勘合リテーナー使用と限定した.尚,本調査は長崎大学歯学系倫理委員会において承認延長措置を行った.
金銀パラジウム合金製接着ブリッジを装着した99名のうち,リコールに応じ,且つ本研究の目的と合致した77名,81症例を対象として,臨床成績調査を行った.生存の状態は(1)完全生存及び(2)機能的生存に分類した.全てのデータは口腔内診査により取得,診査不能データは最終取得データをもって観察打ち切りとし,統計分析した.
その結果,81例のうち5症例は脱離したが,1症例については脱離再装着が可能であり機能的生存であった.完全生存の観察期間および生存率は165ヶ月で43.9%,機能的生存は178ヶ月で87.7%であった.更に,接着ブリッジの生存率に寄与する因子について,(1)上顎/下顎の別,(2)前歯部/臼歯部の別,(3)欠損歯数,(4)支台歯数の4項目について検討したが,そのいずれの因子も生存率に有意に寄与しなかった.これらは,金銀パラジウム合金製接着ブリッジの生存率が高いために寄与するに至らなかったと推測された.
これらの結果は次頁の通り,論文発表によって公表した.また,上記診査によって確認された希有な症例や上記以外の知見について論文発表を随時行った.次年度は別の補綴装置に対する生存率の比較を行う予定である.
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