2006 Fiscal Year Annual Research Report
選択溶解処理した金銀パラジウム合金鋳造体の傾斜機能化による耐食性改善
Project/Area Number |
17592037
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 設雄 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (70137537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 吉馬 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20005036)
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (60179398)
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Keywords | 金銀パラジウム合金 / 溶体化処理 / 選択溶解処理 / 耐食性 |
Research Abstract |
前年度の研究より金銀パラジウム合金を1)硝酸水溶液に浸漬および2)次亜塩素酸ナトリウム溶液浸漬後、2%チオ硫酸ナトリウム溶液に浸漬することで1)ではAgが、2)ではAgClがそれぞれ溶解除去されることにより、合金表面のAu、Pd濃度が増加し耐食性の向上の可能性が示唆された。しかし、後者の処理では合金表面に偏析の影響と見られる孔食が生じ、さらなる腐食の進行につながりかねない。そこで、本年度は偏析の影響を除くため本合金を5段階の温度(650〜850℃)で溶体化熱処理を行い、その後、次亜塩素酸ナトリウム溶液とチオ硫酸ナトリウム溶液による選択溶解処理を行った場合の耐食性を組織像から検討した。 (1)溶体化熱処理後の組織:as cast(コントロール)試料の組織はα,α_1,α_2相からなり、溶体化熱処理温度の上昇に伴い、α+α_1の2相およびα単相に変化することが認められた。 (2)選択溶解処理後の組織:650および700℃溶体化試料は、丸みを帯びた白色相と小さな不定形の白色粒およびそれらを取り囲む暗い灰色のマトリックスの3相からなっていた。750,800および850℃溶体化試料は全面にわたり灰色を呈しており、平滑な表面を呈していた。 (3)選択溶解処理後の試料の耐食性:650および700℃溶体化試料はAgリッチ部(マトリックス)の黒色化が顕著に現れたが、溶体化熱処理温度の上昇に伴い、黒色化部分が消失する傾向を示した。すなわち、750〜850℃溶体化試料では変色がほとんどみられず、平滑な表面状態を呈していた。以上の結果から、高い温度域における均質化熱処理とその後のAgの選択溶解処理が金銀パラジウム合金の耐食性の向上に寄与すると考えられる。
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