2005 Fiscal Year Annual Research Report
生活歯漂白はエナメル質表層のみの白濁化では達成できない
Project/Area Number |
17592043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
河田 英司 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (40147260)
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Keywords | 歯学 / 漂白 / 生活歯 / 過酸化水素 / 光沢 |
Research Abstract |
今年度は、高濃度過酸化水素が歯質におよぼす影響を明らかにすることを目的として、高濃度過酸化水素溶液を応用したエナメル質表面の形態および機械的性質への影響を検討した。 被漂白体として牛歯歯冠を用い、30%過酸化水素溶液を応用するエナメル質面は直径6mmとし(漂白面)、その他の面にはエナメル質保護用バニッシュを塗布した。エナメル質面に内径21mmの円筒ダムを形成し、過酸化水素溶液を、30℃の環境下で5ml応用した。過酸化水素溶液の応用時間は、それぞれ10、20および30分間とした。 応用後の過酸化水素溶液中のカルシウムおよびリンの濃度を、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Vista-MPX, SII)を用いて測定した。次に、エナメル質表面のバニッシュを除去し(非漂白)、漂白面および非漂白面の硬さを、超微小押し込み硬さ試験機にて調べた。牛歯エナメル質に種々の時間応用した過酸化水素溶液中のカルシウムおよびリン濃度については、短時間でカルシウム、リンが溶出していることがわかった。20分間では、カルシウム0.48±0.07ppm、リン0.55±0.03ppm、30分間でカルシウム0.69±0.19ppm、リン0.74±0.08ppmであり、時間の増加に伴って溶解するカルシウムおよびリンの量が増加した。SEM像において、非漂白面では研磨による傷が認められるのみであったが、漂白面ではエナメル小柱の走行に沿った小柱鞘部分の溶解によると思われる粗〓な像が認められた。漂白面のエナメル質表面の平均粗さについては、10分間では、非漂白面と漂白面との粗さには差が認められなかった。20分間と30分間での粗さは、非漂白面と比較してそれぞれ危険率1%、5%で有意に粗くなっていた。また、応用時間が10分間と30分間の漂白面の間において、危険率5%で有意な差が認められた。エナメル質表面の硬さは、30分間で漂白面の方が非漂白面と比較し、危険率5%で有意に低くなった。 エナメル質の粗〓化と表面の光沢度の関係について、今年度購入した精密光沢計を用い測定しているが、背景の影響等の問題があり、検討を加えている。
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