2006 Fiscal Year Annual Research Report
生活歯漂白はエナメル質表層のみの白濁化では達成できない
Project/Area Number |
17592043
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
河田 英司 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40147260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細矢 由美子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80112803)
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Keywords | 歯学 / 漂白 / 生活歯 / 過酸化水素 / 光沢 |
Research Abstract |
昨年度は高濃度過酸化水素が歯質におよぼす影響を明らかにすることを目的として、高濃度過酸化水素溶液を応用したエナメル質表面の形態および機械的性質への影響を検討したが、本年度は応用面に相当する部位の断面について機械的性質、形態変化について検討した。 解凍した牛歯唇側面エナメル質の付着物質を、#1200の耐水研磨紙を用いて除去した。マニキュアを用い接触面積を規程し、30%過酸化水素溶液(過酸化水素,WAKO)10ml中に30℃の環境下で浸漬し、180分間静置した 浸漬後の過酸化水素溶液中のカルシウム、リンの濃度は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(Vista-MPX, SII)を用いて測定した。また包埋牛歯を切断しエナメル質断面を露出させ、最終的に0.05μmのアルミナを用いて鏡面研磨した。エナメル質断面の押し込み硬さは、超微小押し込み硬さ試験機(ENT-1100a, ELIONIX)にて測定した。測定は負荷重量200mgfの条件で、外側から歯髄側方向にかけて測定部位を20μmまで2μmごとに設定し、マニキュアで覆われた部位である過酸化水素溶液非接触部(非接触部)と露出した過酸化水素溶液接触部(接触部)に分けて行った。電子線3次元粗さ解析装置(ERA-8900FE, ELIONIX)を用いて、断面の形態観察を行った。 過酸化水素溶液に180分間浸漬した試料から、単位面積当たりに換算してカルシウム46±4μg/cm^2、リン62±9μg/cm^2の溶出が認められた。試料断面において、外側より歯髄側方向に18μmまでは接触部の押し込み硬さが非接触部に比べて低下していた。他の試料においても、個体差はみられるものの接触部の押し込み硬さが非接触部に比べて低下していた。接触部で非接触部に比べ、エナメル小柱鞘様の溝が外側部付近数μmの範囲に明瞭に認められた。 以上の結果より、エナメル質を高濃度の過酸化水素溶液に浸漬すると、初期にはエナメル小柱鞘部の選択的溶解が生じると思われた。また、表層部に相当する断面でも押し込み硬さは低下すると考えられた。
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Research Products
(1 results)