2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸性水、アルカリ水ならびに混合液のpHの違いがヒト天然歯と歯科用合金に及ぼす影響
Project/Area Number |
17592050
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
青木 春美 日本歯科大学, 歯学部, 助教授 (50150925)
|
Keywords | 酸性水 / アルカリ水 / 混合液 / ヒト天然歯 / 縦断研磨標本 / マイクロラジオグラフ / 脱灰像 / EPMA |
Research Abstract |
酸性水(pH2.78)、アルカリ水(pH12.15)、混合液2種(pH5.0と7.0)の計4種の液がヒト天然抜去歯に与える影響を調べた。歯を近遠心と頬舌方向に4分割縦断し、各浸漬液に1〜48時間浸漬した。試料の肉眼観察と表面の色差、重量測定、縦断研磨標本の光学顕微鏡像ならびにコンタクトマイクロラジオグラム(CMR)像による観察、EPMAによる元素分析を行った結果、以下のことが明らかになった。 (1)酸性水に浸漬した歯は1時間後ですでに表面に軽度な白濁がみられ、経時的にその程度を増した。他の浸漬液では変化はみられなかった。 (2)色差はpHにかかわらず経時的にわずかに増加し、酸性水に48時間浸漬した試料ではNBS単位で7となり「きわめて著しく異なる」に属した。 (3)歯の重量変化は酸性水に浸漬した試料で大きく、48時間浸漬後で-27mg/cm^2であった。 (4)縦断研磨標本の光顕観察では、6時間以上浸漬した歯の表面に薄い透明層が認められ、その幅は経時的に厚くなった。透明層はCMRでX線透過像として観察され、EPMAによる元素分析ではその部位のCa、P、Mgとも濃度勾配が緩やかになった。pH5.0以上の液に浸漬した試料には変化は認められなかった。 (5)浸漬液のpHは全ての浸漬液で経時的にわずかに大きくなった。残留塩素濃度は6時間目までは生成直後とほぼ同じだが、アルカリ水以外は24時間目で約80%に、48時間目で約60%に減少していた。ORPはアルカリ水を除いてほぼ一定の値を保っていた。 以上より、天然歯は電解酸性水に浸漬すると肉眼的には1時間目から、組織学的には6時間目から脱灰像が観察されたが、pH5.0以上の液では影響を及ぼさないことがわかった。これより含嗽剤として用いる場合はpHの値をコントロールする必要があると考える。
|
Research Products
(3 results)