2007 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ/アルギン酸ナノコンポジットによる再生医療用バイオゲルの開発
Project/Area Number |
17592057
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
川口 稔 Fukuoka Dental College, 歯学部, 助教 (10122780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 直敏 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80136530)
武田 昭二 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (20067185)
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Keywords | 再生医療 / 足場材 / カーボンナノチューブ / アルギン酸 / 細胞毒性 / 生体親和性 |
Research Abstract |
再生医療用の細胞増殖足場材としての応用を目的として,先端素材であるカーボンナノチューブ/アルギン酸ゲルを調製した.このゲルは表面をカルボキシル基で親水化した単層カーボンナノチューブをアルギン酸ナトリウムの水溶液中に均一分散させ,ヘキサメチレンジアミンの活性化エステルを架橋剤としてゲル化させたもので,生成したゲルを水洗した後に凍結乾燥させて多孔質体を調製した.本研究の結果から,カーボンナノチューブの導入はコンポジットゲルの多孔体構造を変化させることなく,ゲルの強度を向上させルことが明らかとなった.また,線維芽細胞を用いた細胞生存率試験でも細胞毒性は認められず,ラットの皮下に埋入した後の病理組織学的所見においても,経時的に貧食されて減少する傾向が観察され,4〜5週で埋入片はほぼ消失した.この所見から,創製したカーボンナノチューブ/アルギン酸ナノコンポジットゲルは再生医療用足場材として,良好な連通構造を有し,細胞毒性もなく,組織親和性も優れていることが明らかとなった。 さらにこのナノコンポジットゲル多孔質体を生体組織と類似したイオン濃度を有する疑似体液に浸漬したところ,浸漬3日後で表面にアパタイト様微細結晶の析出が観察された。生成した微細結晶を粉末エックス線回折で分析したところ,析出結晶は炭酸アパタイトの微細葉片状結晶であることがわかった。このことからも,本研究で開発したカーボンナノチューブ/アルギン酸ナノコンポジットゲルは生体内での骨誘導能材料としての機能発揮にも有用であることが示唆された。
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