2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌化学療法のためのマイクロバブルの開発と臨床応用に向けての検討
Project/Area Number |
17592064
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森川 秀広 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60302155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 士朗 東北大学, 病院・講師 (80230069)
小玉 哲也 東北大学, 先進医工学機構, 助教授 (40271986)
鈴木 麻衣子 東北大学, 先進医工学機構, 助手 (70420049)
小野 栄夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20302218)
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Keywords | マイクロバブル / 超音波 / 癌化学療法 / 腫瘍血管 / 遺伝子導入 / 口腔癌 / 動物モデル / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
近年、マイクロバブルに超音波を照射することにより、標的組織に遺伝子などの高分子を導入する方法が注目されており、心臓血管疾患、癌、,炎症性疾患等の治療への応用が期待されている。本研究は、口腔癌の治療に応用するための病巣集積型マイクロバブルを開発し、口腔癌の治療への応用を検討することを目的とする。 平成17年度においては、まず、マイクロバブルの腫瘍組織内での物理学的特性を、腫瘍細胞を移植した腫瘍モデルマウスを用いて検討した。その結果、マイクロバブルの大きさを直径200nm以下にすると腫瘍血管から漏出し、腫瘍血管周囲に停滞することが明らかとなった。この現象は、腫瘍内の新生血管が正常組織の血管と比べて物質透過性が高いために起こるものと思われる。また、超音波イメージング装置(最高周波数80MHz)を用いることにより、血管内を流れる直径200nm一個一個のバブルの動きが可視化されることを偶然見出した。これは波長の4乗に逆比例するというレイリーの散乱理論がナノレベルで顕著に現れた現象であり、診断用超音波装置(周波数3.5MHz)ではこれまで報告されていない新しい極微の現象である。光学顕微鏡の空間分解能では200nm以下の物体を認識することは不可能であるが、超音波散乱を利用することで200nm以下のガス気泡の挙動が捉えられることを意味している。従って、血管を流れる個々のナノバブルで増強されるエコーの輝度に同期させて超音波装置からの超音波の発生が制御されれば、キャビテーション気泡の衝撃圧をコントロールでき、血管壁周囲のマイクロバブルの拡散領域にある細胞に治療に有効な遺伝子を導入できるものと考えられる。以上の結果は、マイクロバブルの大きさや超音波の照射条件、画像データと超音波照射のコンピュータを介した同期化などにより、癌病巣に集中的に遺伝子などの分子を導入することが可能であることが示唆された。
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