2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞が引き起こす骨吸収機構への分子遺伝学的な解明
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17592078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福永 城司 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10284069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山近 英樹 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10294422)
辻極 秀次 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70335628)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 免疫抑制剤 / T,B細胞 / 骨代謝マーカー |
Research Abstract |
平成18年度の結果から、FK506投与による骨粗鬆症では、T細胞ではなく、B細胞によるRANKLの発現が増加して破骨細胞の形成が促進されているのではないかということが示唆された。免疫機能の低下は、炎症を引き起こすため、今回はFK506投与による骨粗鬆症を炎症の観点から検索した。 (実験方法) 6週齢、ICR雄性マウスを2群に分類。実験群はFK506を腹腔内に投与。コントロール群は生理食塩水を腹腔内に投与。全ての群は4週間連日投与した。投与後、脛骨、大腿骨より骨髄細胞を採取し10日間の培養後、TRAP染色を行い破骨細胞数の計測、形態分化能の観察を行った。また血清サイトカインをBio-Plexにて計測した。大腸組織は組織切片製作し組織学的観察を行った。 (結果・考察) 1、培養:実験群はコントロール群と比較し破骨細胞様細胞の数、3核以上有する多核の破骨細胞共に増加傾向にあった。 2、サイトカイン:実験群はコントロール群と比較しRANKL発現の起因となる炎症性サイトカインINFα、IL-1、IF-6の値は高値を示した。 3、大腸組織:実験群では、大腸粘膜組織に壊死・破壊像が認められた。 4、FK投与マウスの腸間膜リンパ節(MLN)を摘出し、FACSで解析した。 血清サイトカイン23種類をBio-Plex(Bio-Rad)で測定した。IL-6やTNF-α以外にも、コントロール群においては低値を示し、FK506のみ投与した群で高値を示した。すなわち、FK506によってコントロールより炎症性サイトカインが増加することが示唆された。 CD4+CD45RBloCD25+(Treg)はFK506投与群においてコントロール群より有意に滅少していた。CD4+CD45RBhiCD25-はFK506投与群においてコントロール群より増加傾向にあった。すなわち、FK506投与により炎症を抑制するT細胞が減少して、腸炎を発症する可能性が示唆された。 以上から、FK506投与により炎症が引き起こされ、これにより大腸での吸収が減弱して骨粗鬆症が誘発される可能性が出てきた。
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