2005 Fiscal Year Annual Research Report
E-カドヘリンのプロセシング抑制による口腔癌の浸潤・転移阻止に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17592083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林堂 安貴 広島大学, 病院, 講師 (70243251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 幸男 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20335665)
小林 雅史 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (30346506)
小泉 浩一 広島大学, 病院・助手 (30335682)
岡本 哲治 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00169153)
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Keywords | 口腔癌 / 浸潤・転移 / E-カドヘリン / プロセシング / プラスミノーゲン / プラスミン / 細胞凝集能 / 細胞遊走能 |
Research Abstract |
本研究は,口腔扁平上皮癌の細胞凝集能と浸潤増殖におけるプラスミノーゲン/プラスミン系の関与を明らかにするため,口腔扁平上皮癌細胞のE-カドヘリンの断片化とその機能発現に対するプラスミノーゲン/プラスミン系の影響について解析した. 扁平上皮癌細胞をプラスミノーゲンで処理すると,細胞蛋白中の約120kDaのE-カドヘリン発現は低下し,培養上清中には約80kDaのE-カドヘリン断片が検出され,プラスミノーゲンの濃度に依存してE-カドヘリン断片量は増加した.プラスミノーゲン存在下で培養した扁平上皮癌細胞のE-カドヘリンの局在を蛍光抗体法にて解析すると,プラスミノーゲンの濃度に依存して細胞膜上でのE-カドヘリンの染色性が低下していた.扁平上皮癌細胞のカルシウム存在下での細胞凝集はプラスミノーゲンの濃度に依存して抑制され,扁平上皮癌細胞の遊走能もプラスミノーゲン添加により亢進された.すなわちプラスミノーゲン/プラスミン系は,口腔扁平上皮癌のE-カドヘリン産生を調節しているのではなく,E-カドヘリンを細胞間接着活性部位が存在する細胞外ドメインで切断することで,細胞間接着を抑制し細胞凝集能を低下させ,扁平上皮癌の細胞遊走を亢進していることが示された.またE-カドヘリンの切断・断片化に伴いβ-カテニンの細胞膜から細胞質への移行がみられたことから,プラスミノーゲン/プラスミン系は扁平上皮癌細胞の増殖能に対しても影響を及している可能性が考えられた.
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Research Products
(5 results)