2005 Fiscal Year Annual Research Report
maspin遺伝子を発現するSV40変異型DNA不死化ヒト唾液腺筋上皮細胞の特性
Project/Area Number |
17592088
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 高志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80208727)
|
Keywords | maspin / 唾液腺 / 筋上皮細胞 |
Research Abstract |
1.唾液腺腺様嚢胞癌におけるmaspinのエピジェネティック制御 唾液腺腺様嚢胞癌は、増殖が緩慢であるにもかかわらず、周囲組織への浸潤傾向が強く、高頻度に肺転移を来たす。他方、maspinは、癌抑制遺伝子・p53により発現が制御されており、乳癌・前立腺癌において浸潤・転移を抑制することが報告されている。 本研究で検索した唾液腺腺様嚢胞癌はp53が野生型であるにもかかわらず、maspin蛋白が検出されなかった。maspin promoterにおけるシトシンのメチル化を検索したところ、13個のCpGアイランドの内、9個にメチル化が検出された。この結果より、唾液腺腺様嚢胞癌の特性には、promoterにおけるメチル化によって生じたmaspin遺伝子の発現低下が関与していることが示唆された。 2.maspinによるInterferon Regulatory Factor 6(IRF6)の不活性 酵母two hybridシステムにおいて、maspin蛋白はIRF6蛋白と結合することが報告されている(J Biol Chem,280,34210,2005)。 SV40変異型DNA不死化ヒト唾液腺筋上皮細胞(NS-SV-MC)は、IRF6を発現しており、maspinを発現していなかった。唾液腺導管細胞は、maspinを発現しており、IRF6を発現していなかった。NS-SV-MCにmaspin遺伝子を導入すると、筋上皮細胞のマーカー(アルファ平滑筋アクチン、平滑筋ミオシン)の発現低下を認めた。なお、唾液腺導管細胞にIRF6を導入しても、表現形質には変化がみられなかった。この結果より、唾液腺細胞において、IRF6は筋上皮細胞への分化に関与しており、maspinがIRF6の作用を抑制していることが示唆された。
|