2006 Fiscal Year Annual Research Report
maspin遺伝子を発現するSV40変異型DNA不死化ヒト唾液腺筋上皮細胞の特性
Project/Area Number |
17592088
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
板東 高志 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80208727)
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Keywords | maspin / 唾液腺 / 筋上皮細胞 |
Research Abstract |
1)maspinを高発現するSV40変異型DNA不死化ヒト唾液腺筋上皮細胞(NS-SV-MC)と低発現のNS-SV-MCを作製し、in vitroおよびヌードマウスを用いたin vivoの系において、ヒト唾液腺癌細胞(HSG)と共培養を行った。その結果、NS-SV-MCが産生するmaspinは、HSGの増殖、浸潤、頸部リンパ節転移を抑制したが、HSGの分化には影響を及ぼさなかった。 2)maspinは、転写因子interferon regulatory factor-6 (IFR-6)に結合することが報告されている(J.Biol.Chem.,280,34210,2005)。そこで、SV40変異型DNA不死化ヒト唾液腺導管細胞(NS-SV-DC)とNS-SV-MCにおける、maspinとIRF-6の発現と細胞内局在を検索した。その結果、NS-SV-DCにおいて、maspinとIRF-6は細胞質内に共発現していたが、maspinの発現が低下したNS-SV-MCでは、核にIRF-6の発現を認めた。すなわち、内因性のmaspinは、IFR-6との結合を介して筋上皮細胞への分化に関与していることが示唆された。 3)ヒト唾液腺良性腫瘍においてmaspinの発現を認め、ヒト唾液腺悪性腫瘍(腺様嚢胞癌)において発現の低下を認めた。そこで、maspinの転写を制御している癌抑制遺伝子p53の塩基配列とmaspin promoterにおけるメチル化を検索した。その結果、腺様嚢胞癌において、p53のエクソン5~8に変異は検出されなかった。また、maspin promoter (-296~+184)において、13個のCpGアイランドの内、9個にメチル化が検出された。すなわち、腺様嚢胞癌において、promoter領域におけるメチル化が、maspinの発現を制御していることが示唆された。
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