2005 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性耳下腺炎治療のための導管拡張用精密器具の開発に関する実験的研究
Project/Area Number |
17592090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河津 俊幸 九州大学, 大学病院, 助手 (20294960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 英二 九州大学, 歯学研究院, 助教授 (60172467)
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究院, 助手 (20346802)
吉浦 一紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20210643)
徳森 謙二 九州大学, 歯学研究院, 助手 (40253463)
筑井 徹 九州大学, 歯学研究院, 講師 (10295090)
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Keywords | 閉塞性耳下腺炎 / 唾液腺造影 / バルーンカテーテル |
Research Abstract |
[初年度の研究内容] 閉塞性耳下腺炎の治療器具の開発にあたり、閉塞性耳下腺炎の画像所見(耳下腺導管の狭窄部位や狭窄・拡張程度等)および臨床所見(経過や唾液の流出状況)をretrospectiveに検討した。これにより、治療器具使用の適応となる症例の選別や器具開発のための基礎データを採取した。 [対象・方法] 1998年から2004年に九州大学病院口腔画像診断科において耳下腺造影を行った592例のうち、臨床所見および画像所見から閉塞性耳下腺炎が疑われた10例を対象とした。これら10例の耳下腺造影像から、導管の狭窄部位、拡張程度、末梢導管の描出程度、造影剤の排泄程度を発症からの経過時間とともに検討した。 [結果] 導管の狭窄部位は大半が咬筋前縁であった(10例中9例)。導管の拡張程度については発症からの経過時間が長いものほど拡張が強い傾向にあった(P=0.055、ロジスティック回帰分析)。末梢導管の描出程度および造影剤の排泄程度については発症からの経過時間との明らかな関連は認められなかったが、末梢導管の描出が良好な症例では造影剤の排泄程度も良好な傾向が認められた。 [考察] 導管の狭窄部位が咬筋前縁に多かったことは、ステンセン管の解剖学的構造が原因ではないかと推察された。よって導管拡張用のカテーテルは耳下腺開口部から咬筋前縁までの距離を考慮すると最大でも2〜3cmの長さがあればほとんどの症例がカバーできるのではないかと考えられた。導管の拡張については時間の経過とともに不可逆的に進行するのに対して、末梢導管の描出については唾液の排泄程度によっては障害を受けた唾液腺の修復が起こり、必ずしも可逆的な経過をとらないことから今回のような結果が得られたのではないかと考えられた。よって唾液腺造影像において抹消導管の描出が良好な症例はバルーンカテーテルによる治療が有効であると考えられた。
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