2005 Fiscal Year Annual Research Report
超音波とマイクロバブル造影剤を用いた遺伝子導入による顎関節炎の次世代治療法の開発
Project/Area Number |
17592097
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
冨永 和宏 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (40188793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 達次 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (80192251)
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Keywords | 顎関節症 / 超音波遺伝子導入法 / アジュバント関節炎 / IL1-ra / 滑膜細胞 |
Research Abstract |
近年、関節炎に対する治療として、抗炎症性サイトカインの局所注入療法などが試みられてきたが、多大な費用を要し、現実的な治療とは言えなかった。現在、遺伝子を用いた治療法として導入効率に優れたウイルスベクター法が開発されているが、関節炎のような非悪性の疾患に対して未知の為害作用が危惧されるウイルスベクター法は用いるべきでないと考え、他の遺伝子導入法に関して検討を行ってきた。申請者は以前エレクトロポレーション法による抗炎症性サイトカインの遺伝子導入を検討し、アジュバンド関節炎の炎症を抑制する効果を明らかにした。しかし、エレクトロポレーション法では電極の刺入や局所に対する高い電圧の影響なども無視できないので、今回、より安全な遺伝子導入治療を確立する目的で超音波を用いた遺伝子導入治療を試みることとした。 滑膜細胞はウサギ膝関節由来の培養滑膜細胞であるHIG82を用いた。このHIG82に対してマイクロバブル(Optison^<TM>)を併用した超音波遺伝子導入法で遺伝子を導入した。プラスミドにはβ-galatosidase発現プラスミド(pEF1α-βgal)を用いた。超音波遺伝子導入装置にはSonitron2000を用いた。 HIG82cell懸濁液((1)contorol群)にPlasmidならびにOptison^<TM>の混合溶液を添加した。それを(2)超音波非照射群、(3)超音波照射群の計3群に分けた。超音波は周波数1MHz、強度1.0W/cm^2、duty比10%、照射時間20secの条件で実験を行った。実験後24時間後に各群の細胞に対してβ-gal染色を行いその陽性細胞をカウントした。 その結果、(1)control群ならびに(2)超音波非照射群では遺伝子の導入はほとんど認められなかったが、(3)超音波照射群においてはわずかながら緑色のβ-gal陽性細胞が認められβ-galactosidase発現plasmidが導入されているのが確認された。 しかし、その導入効率は従来の方法に較べて高いとは言えない。Sonitron2000では周波数は1MHzで固定されているが、超音波の強度ならびにduty比は可変であるので、マイクロバブルの濃度を変更するとともに各条件下で超音波遺伝子導入を行い、最も遺伝子が導入される至適条件を現在、検索中である。
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