Research Abstract |
今年度,本研究では高齢のラットを用い,鎮静剤・鎮痛剤の併用与薬による,自発運動量,心拍数,血圧,体温など生体への影響に関する行動観察を行った。20週令(♂)ラットに,若年ラットで呼吸抑制を認めずに鎮静効果が得られる鎮静剤(ベンゾジアゼピン:ミダゾラム;0.5,1.0mg皮下注射)および鎮痛剤(ペンタゾシン;6,12mg皮下注射)の単独および同時与薬した。この状況のバイタルサイン(血圧測定・心拍・体温計測)および鎮静(Irwnの多次元観察法のて判定),鎮痛(Randall-Selitto法;圧刺激装置にて下肢を刺激),そして運動機能(加速ローターロッドにて転落時間)を240分間にわたり行動観察を行った結果を下記に示す。 1)鎮静剤および鎮痛剤の単独投与 (1)ミダゾラム0.5mg/Kg投与:鎮静効果;90分間,運動機能抑制;90分間,バイタルサイン;変動なし (2)ペンタゾシン6.0/Kg投与:鎮痛効果;90分間,運動機能抑制;90分間,バイタルサイン;変動なし (3)ペンタゾシン12.0/Kg投与:鎮痛効果;120分間,運動機能抑制;180分間,バイタルサイン;血圧上昇 2)鎮静剤および鎮痛剤同時(併用)投与; (1)ミダゾラム0.5mg/Kgとペンタゾシン6.0/Kg 鎮静効果;120分間,鎮痛効果;120分間,運動機能抑制;120分間,バイタルサイン変動;なし,運動機能回復;120分 (2)ミダゾラム0.5mg/Kgとペンタゾシン12.0/Kg 鎮静効果;180分問,鎮痛効果;180分間,運動機能抑制;240分間,バイタルサイン変動;血圧と体温上昇,運動機能回復;240分であった。 鎮静有効最小量;ミダゾラム0.5mg/Kgと鎮痛有効中等量;ペンタゾシン12.0/Kgの同時与薬では,ミダゾラム0.5mg/Kgの単独投与に比較して,血圧・心拍・体温は上昇,運動機能回復に2倍の時間を要した。したがって鎮静剤と鎮痛剤の同時投与には十分な術後管理が必要である。
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