2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェノール系抗酸化剤のラジカル産生とアポトーシス誘導能
Project/Area Number |
17592104
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
岡田 典久 明海大学, 歯学部, 講師 (40146220)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤沢 盛一郎 明海大学, 歯学部, 教授 (40014162)
|
Keywords | ユージノール / イソユージノール / 抗酸化剤 / ラジカル / アポトーシス |
Research Abstract |
今回、我々は口腔粘膜上皮へのユージノール(EUG)、イソユージノール(IsoEUG)の影響について、日常の歯科臨床で広く用いられている光重合レジン修復時を想定し、その光照射の影響をも含めて明らかにすることを目的として、マウス頬粘膜を用いて実験を行い、以下の知見を得た。 1、EUG、IsoEUGを作用させない状態での5分間の光照射では、コントロールと同じ所見を示した(HE染色、TUNEL法)。 2、EUGを作用させた頬粘膜では、軽度の細胞性水腫とケラトヒアリン顆粒が明らかに増加していた(HE染色)。また、さえぎられた細胞間橋と角質層の近くにクロマチンの濃染が明らかであった(TUNEL法)。 3、EUGを作用させた頬粘膜へ5分間の光照射を行うと中等度の細胞性水腫をもたらし濃染を示した(HE染色)。また、上皮の肥厚と細胞の消失を認めた(TUNEL法)。 4、IsoEUGを作用させた頬粘膜では、さえぎられた細胞間橋と崩壊した有棘細胞の核が著しい細胞性水腫の存在を示した(HE染色)。また、角質層の近くに染色の増加を認め、有棘細胞の膨張が明らかであった(TUNEL法)。 5、IsoEUGを作用させた頬粘膜へ5分間の光照射を行うと深部にまで平坦化した有棘細胞が分散し、著しい炎症の存在を示した(HE染色)。また、細胞の消失を伴う著しい上皮の肥厚を示した(TUNEL法)。 以上のことから、口腔粘膜への損傷はIsoEUGの方がEUGに比較して明らかに顕著であり、このことは光照射がない場合においても認められた。そして、EUG、IsoEUGの毒性力は光照射により増強された。HE染色とTUNEL法による病理組織学的検査では、生物学的には主にアポトーシスではなく、ネクローシスが引き起こされた。
|