2006 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経痛の原因解明と治療法の確立-新治療法ガンマナイフの効果-
Project/Area Number |
17592110
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部, 助教授 (00366329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 基弘 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20256499)
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Keywords | ガンマナイフ / 三叉神経痛 / 突発性疼痛 / ガンマ線 |
Research Abstract |
三叉神経痛の治療法に用いられているガンマナイフの有効性を明らかにするために臨床と基礎研究の二方向からアプローチを行った。 1.臨床的研究:三叉神経痛に罹患している患者18名に対して錐体骨上三叉神経切痕に4mm collimatorを用いてガンマ線90Gyを照射し予後を観察した。照射前・後の三叉神経領域の感覚検査(触覚(von Frey法)・冷覚)とアロデニアの有無、痛みのVASを比較した。照射前では16名において触覚鈍麻、3名において冷覚鈍麻、2名にアロデニアが認められ、痛みのVASの平均値は8.5であった。照射後1ヶ月では16名において痛みの軽減が認められた。他の2名においても照射後3ヶ月には痛みの軽減が認められた。その後、急に激痛が起こり悪化するケースも見られたが、一時的に投薬量を増加し経過観察を行う2ヶ月以内には痛みは消失し、すべての症例に関して良好な経過が得られている。初診時にみられた感覚鈍麻やアロデニアは痛みのVASが0になった時期には消失するようであった。 2.基礎的研究:ガンマナイフの効果がどのようなメカニズムで起こるのかを調べるためにラットの右坐骨神経に8mm collimatorを用いて100Gyのガンマ線照射を行った。その後の行動変化を観察するとともに、痛覚過敏を測定するプランターテスト、痛みの伝達系を調べるホルマリンテストを施行した。ラットの行動に特徴的な変化は見られず、プランターテストにおいても9ヶ月以内には照射側と非照射側の間に有意差は認められなかった。これらの結果から、ガンマ線により機能的変化や痛覚過敏等の障害は誘発されないことが示唆された。しかし、照射後26週目のラットにホルマリンテストを施行すると、第2層における時間がコントロールラットに比較して短くなっていることから、ガンマ線照射が痛みの伝達系に何らかの抑制作用を導いたものと考えられた。
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