2006 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染が歯の形成異常を引き起こすメカニズムの解明
Project/Area Number |
17592127
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Research Institution | Tohoku university |
Principal Investigator |
真柳 秀昭 東北大学, 大学院歯学研究科, 教授 (60005098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門馬 祐子 東北大学, 病院・講師 (00191073)
畠山 雄次 東北大学, 大学院歯学研究科, 助手 (40302161)
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Keywords | 歯の形成不全 / 感染 / マウスサイトメガロウイルス |
Research Abstract |
ヘルペス科ウイルスは、多くが乳幼児期に感染し、口腔内に典型的な口内炎を生じさせ、歯科領域では重要なウイルスである。マウスにおいてサイトメガロウイルス感染による歯の形成不全を起こすこと報告し、マイクロアレイにて感染後の炎症性サイトカインの変動をスクリーニングを行った。本年度は、(1)マウス切歯の形成不全部の状態を3-D顕微鏡での観察ならびに、(2)炎症性の反応としてHDC活性の動態を検討した。 方法と結果:1)出生48時間以内のマウスに、5x10^5 PFUのマウスサイトメガロウイルス(MCMV)Smith株を腹腔内接種し、経時的に、還流固定後、上顎骨ならびに下顎骨を摘出し、切歯の表面を3--D顕微鏡にて観察した。感染の2-3週後の切歯では、粗悪なエナメル質が切歯の表面1/3にかけて認められた。 同部位のエナメル-象牙境の乱れが確認された。2)4週齢マウスの腹腔に、同ウイルス量を腹腔接種し、経時的に屠殺し摘出した臓器のHDC活性とサイトカインの動態を検討した。その結果、脾臓と肝臓では、HDC活性の上昇時にウイルスが分離された。HDC活性の上昇する時期は臓器毎に異なっていた。サイトカインの動態について、脾臓ではVEGFが9.13日目で減少、TNF-αは5〜13日目で減少した。肝臓では、IL12、TNF-α、IL-6が有意に上昇した。肺では、IL-12の上昇、IL-6の減少が認められた。IFN-γは9日目までは減少していたが、13日目で上昇が認められた。 歯の形成の一時期にサイトカインがかかわっていることが報告されている。本実験において、臓器の炎症の指標としてHDC活性の結果からも、ウイルス感染後には宿主の反応が大であり、10日以上経過しても組織には炎症性反応が継続していることが確認された。比較として行ったHSV-1を口腔に感染させた実験では、感染後多臓器でHDC活性が変動すること確かめられた。各臓器での炎症反応もウイルスの病原性に関わり、産性される炎症性サイトカインやケモカインはウイルスの増殖や排除にかかわっていることが示唆され、歯の形成にも影響を与えている。
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