2006 Fiscal Year Annual Research Report
XLH患者における象牙質形成異常とナトリウム-リン酸共輸送体との関連
Project/Area Number |
17592135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大西 智之 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (30303978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶋 隆 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (80116003)
新谷 誠康 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教授 (90273698)
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Keywords | Hypマウス / 象牙質石灰化異常 / Npt2 / 分子生物学 |
Research Abstract |
X連鎖性低リン血症性くる病(XLH)の疾患モデル動物であるHypマウスは、発育遅延、低リン血症、骨石灰化不全等の全身的特徴を有しており、また、特徴的な象牙質形成不全を有することで知られている。さらにHypマウスは、Phex遺伝子に変異が認められている。Hypマウスの腎でば2型ナトリウム-リン酸共輸送体(Npt2)遺伝子の発現が抑制され、リンの再吸収が障害されることで低リン血症が惹起する。今回、Hypマウスの硬組織形成細胞におけるNpt2の発現異常について検討した。はじめに,歯および骨におけるNpt2遺伝子の発現およびその分希をNorthern blot分析およびin situ Hybridization法により調べたところ、野生型マウスの歯および骨にはNpt2b mRNAが発現しており、歯ではエナメル芽細胞および幼若な象牙芽細胞に、骨では骨芽細胞に分布していた。次にHypマウスでのNpt2b遺伝子発現量を定量的PCR法で調べたところ、Hypマウスでは野生型マウスと比較してNpt2b mRNA発現量は有意に低い値を示した。さらに、野生型マウスの歯胚や骨芽細胞様細胞MC3T3-E1におけるPhexの発現を抑制するとNpt2b mRNAの発現量が減少した。また、MC3T3-E1細胞においてNpt2b遺伝子の発現を抑制すると、無機リンの取り込み量および石灰化物形成量が減少した。 以上の結果は、HypマウスにおけるPhexの機能不全が硬組織形成細胞でのNpt2bの発現異常を引き起こしていること、さらに、Hypマウスにおける歯や骨の石灰化異常が低リン血症といった全身的な要因のみに起因するのではなく、硬組織形成細胞自身の異常、とりわけ、Npt2bの発現が障害されることによる細胞内へのリンの吸収阻害がその原因の1つとなっている可能性の高いことを示唆している。
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