2006 Fiscal Year Annual Research Report
う蝕原因菌特異的溶解酵素の口腔レンサ球菌臨床分離株に対する効果に関する研究
Project/Area Number |
17592140
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
香西 克之 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (10178212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳司 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90263714)
菅井 基行 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (10201568)
小松澤 均 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90253088)
吉村 剛 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50403530)
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Keywords | ミュータンス菌 / 齲蝕 / 溶菌酵素 / 口腔レンサ球菌(属) / Streptococcus mutans / Streptococcus sobrinus |
Research Abstract |
齲蝕の原因菌はStreptococcus mutans(ミュータンス菌)とStreptococcussobrinus(ソブリヌス菌)である。我々は昨年度までに、ミュータンス菌の産生するペプチドグリカン加水分解酵素(Aml)がミュータンス菌とソブリヌス菌に対し、菌種特異的に溶菌活性を示すことを明らかにし、齲蝕抑制物質としての可能性を見いだしている。今年度我々は、Amlのリコンビナント大量精製の実験系を確立し、得られたAmlリコンビナント蛋白を用いて、溶菌酵素活性に影響を与える因子について検討を行った。また、確立した溶菌酵素活性評価系を用いて、小児口腔より分離した臨床分離株に対するAmlの溶菌酵素活性について検討を行った。 近年、ミュータンス菌の全塩基配列が決定されたことから、Amlについての遺伝子配列をN末端アミノ酸シークエンスならびに遺伝子配列から明らかにした。得られた配列をもとに遺伝子組み替え蛋白を作り、精製を行った。その結果、1literの培養液から約1mgの精製蛋白が得られた。 得られた蛋白を用いて、括性に影響を与える因子の検討を行った。その結果、組み替え蛋白はpH7付近、37℃の条件下で安定して使用できた。そして、Amlは陽イオン(特にCa^<2+>、Na^+)の影響を強く受けた。その他には非イオン性の界面活性剤であるtriton X-100存在下において最も活性が高くなることが明らかとなった。 以上の結果をもとに、Amlの酵素活性が最大となる条件の緩衝液を作成し、(lysis buffer :0.1Mリン酸緩衝液、0.1M NaCl、0.1mM CaCl_2、0.1%triton X-100)、小児口腔から分離したミュータンス菌39株、ソブリヌス菌9株を被験菌株に用い、最終濃度が10μg/mlのAmlを添加して、臨床分離株に対する溶菌活性について検討を行った。その結果、Amlは、臨床より分離されたミュータンス菌、ソブリヌス菌に対し、広範的に強い溶菌反応を示した。しかし、株間における感受性の差は、ミュータンス菌およびソブリヌス菌の混合感染の有無や酸産生能などの、齲蝕リスクに関連する項目との相関関係は見られなかった。
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Research Products
(1 results)