2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元生体力学シミュレーション法で成長期の顎関節症と顎関節形態の関連性を検証する
Project/Area Number |
17592142
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
重田 浩樹 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 助手 (10274854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 裕 鹿児島大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (50281738)
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Keywords | 歯学 / 顎関節 / 生体力学 / シミュレーション / 解析・評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は、成長期にある若年者の関節円板障害の誘発要因として顎関節形態の特異性が関与しており、顎関節の成長の過程で関節円板転位を引き起こしやすい形態に成長変化していくという仮説の証明を、3次元生体力学シミュレーション法を用い実証することである。正常な顎関節の成長発育は一般的に15歳以降に形態形成が完了し、その後ゆっくり形態変化が進行することが言われているものの、客観的に提示した報告は認められない。よって、本年度は横断的資料である正常な95顎関節(平均年齢:15.5±2.3歳、年齢範囲:9-20歳)の水平断と前頭断それぞれのMR画像から下顎頭長軸角を計測し、年齢変化における違いを観察することで、正常な下顎頭形態の成長発育様式を推察することにした。その結果、下顎頭は15歳頃までは前外側方向や上内側方向に骨添加をしながら大きくなり、形態がほぼ成熟する15歳以降になると水平断から計測した下顎頭長軸角と前頭断から計測した下顎頭長軸角が負の相関関係になるように形態変化していることが示された。何故、15歳以降にこのような形態変化を生じるのかの理由として、研究代表者は『機能』が関与していると考えている。すなわち、咀嚼や噛みしめなどにより上下歯列間に咬合力が加わると、同時に顎関節にも圧縮力が加わる。この応力は顎関節の成長を促すとともに正常な機能と構造の維持に重要な役割を担っているが、顎関節に加わる応力が過剰になると顎関節症を引き起こすとも考えられている。今後、この結果の妥当性を検証するためにも、顎関節の成長発育過程において機能がどのように関与しているのかを本研究課題で構築してきた3次元有限要素モデルを使用し、より詳細に検討していく予定である。
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