2007 Fiscal Year Annual Research Report
小児の歯垢生態系における口腔内部位特異性と経年的変化に関する研究
Project/Area Number |
17592147
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
広瀬 弥奈 Health Sciences University of Hokkaido, 歯学部, 准教授 (10265077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 祥子 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (10285538)
松本 大輔 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40305917)
鎌口 有秀 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (40133235)
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Keywords | 小児 / 歯垢生態系 / 部位特異性 / 経年的変化 / 歯科疾患 |
Research Abstract |
1.生化学的分析 成人被験者の上下顎前歯部唇・舌側面、臼歯部頬・舌側面の計8か所から採取した歯垢のCa、P、F量およびタンパク量を測定した。その結果、Ca、P、F量は、上顎前歯部唇側で少なく、下顎前歯部に多く、歯垢緩衝能における部位特異性(下顎前歯部舌側で高く、上顎前歯部唇側で低い)と一致していた。タンパク量は、耳下腺開口部に近い上顎臼歯部頬側で多いにもかかわらず、顎下腺・舌下腺開口部に近い下顎前歯部舌側では少なかったことから、両唾液腺における唾液タンパクの組成の違いが歯垢タンパク量の部位特異性に影響を与えていることが示唆された。一方、小児の歯垢のCa、P量も成人の結果と同様、下顎前歯部に多いことが確認されたことから、小児においても下顎前歯部舌側の歯垢はう蝕誘発能の低いことが示唆された。また、成人と異なり、発育空隙の認められる小児では下顎前歯部において唇・舌的な唾液の流れがあることから、唇・舌的比較を行ったところ、成人では舌側が有意に高かった(p<0.01)のに対し、小児では差は認められず、このことからも歯垢のミネラル分布は唾液との関連のあることが示唆された。 2.細菌学的分析 予備実験として、成人被験者の同部位計8か所から採取した2日目歯垢のS.mutansとS.sobrinusの定量を行った。QIAamp・DNA Mini Kitを用いて、DNAを抽出後、分析した。特異的なprimerとprobeはglucosyltransferase-B,glucosyltransferase-Tをターゲットとし設計した。両菌の測定は蛍光プローブ法にて行い、S.mutansとS.sobrinusのDNA濃度と全細菌数に対するS.mutansとS.sobrinusの定量的構成比を求めた。DNA濃度と全細菌量に対する構成比率をreal-time PCR法により測定し、比較検討した。その結果、歯垢中の全細菌量に対するS.mutansの構成比率において部位別な有意差が認められ、下顎前歯部舌側面において最も低い値を示し、生化学的分析の結果と相関していた。本結果は、第17回JADR(2007年11月)において発表した。
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