2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯列の成長発育に対する咀嚼の効果に関する基礎的研究
Project/Area Number |
17592152
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 茂成 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (90205013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30084784)
松澤 光洋 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60288082)
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Keywords | 歯学 / 骨芽細胞 / 分化 / 歯周組織 |
Research Abstract |
平成18年度は、歯根膜由来細胞の産生する骨芽細胞分化誘導因子の発現に対するTRAP存在下での機械的外力の作用を検索する為、主にリコンビナントTRAPの作製およびその生物活性についての実験系を進めてきた。骨系細胞の性格を有する歯根膜由来細胞に対するTRAPの作用は不明であり、さらに機械的外力を伴う影響を検索した報告は皆無である。今回は、大腸菌による発現系を用いたリコンビナントTRAPを作製し、骨芽細胞分化マーカーの発現誘導およびTGF-βシグナル伝達系を用いてその生物活性を確認した。大腸菌における発現系は、Invitrogen社のGateway systemによるpDEST15発現ベクターを用いた。発現誘導はIPTGにより行い、最も発現効率の良い条件を検索し、リコンビナントTRAPの抽出条件を確立した。分離、精製されたTRAPの分化誘導能については、骨芽細胞(SaOS2 cells)を用いて骨基質蛋白質のmRNA発現レベルの解析を行い、さらにSmadのSBE配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に連結したレポータープラスミド(SBE4-Luc)によるTGF-βシグナリングの転写活性化を検索した。すなわち、TRAPをSaOS2 cellsに添加して7日間培養を行った後、mRNAを抽出しReal-time RT-PCRを行った。その結果、SaOS2 cellsにおいてTRAP添加によりType Iコラーゲン、アルカリフォスファターゼおよびオステオカルシンのmRNAレベルの上昇を認めた。転写レベルの解析は、トランスフェクションの24時間前に無血清、抗生物質不含のOpti-MEM培地に交換して12時間培養後、トランスフェクション試薬を用いてレポータープラスミド、TRAPを加えて48時間培養を行ってDual-Lusiferase Reporter Assay Kitによりルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、SaOS2 cellsに対してTRAPはポジティブコントロールであるTGF-βに匹敵する程のルシフェラーゼ遺伝子の転写活性化を示した。以上の結果は、本実験系で用いるTRAPの生物活性を証明するものであり、今後はさらに機械的外力を伴うTRAPの作用についてヒト歯槽骨由来骨芽細胞および歯根膜由来細胞の両細胞での検索を行う予定である。
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