2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病罹患歯の残存歯根膜を組織培養した歯の移植による歯周組織再生療法の開発
Project/Area Number |
17592157
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
齋藤 彰 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (20301913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 恵美子 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (80374528)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (30230816)
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Keywords | 歯根膜 / 培養 / エムドゲイン / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
歯周炎によって失われた歯周組織再生に、歯根膜細胞が重要な役割を果たすと考えられている。そこで我々は、罹患歯を摘出してin vitroにおいて歯根膜由来細胞を歯根全面に増殖させた歯を作製して、口腔内に移植を行う新しい歯周組織再生療法を考案した。 これまでおこなった研究結果では、組織培養を行った罹患歯モデルの移植後4週の初期治癒において、培養歯根膜細胞が上皮の根尖側移動を抑制し、骨性癒着も抑制することを明らかにした。しかし、根面の大部分には根面と平行に走行する線維のアダプテーションが形成するにとどまり、セメント質の形成はわずかであった。 そこで我々は、エナメルマトリックス蛋白(エムドゲイン【○!R】)に着目した。歯の発生期にエナメルマトリックス蛋白がセメント質形成に重要な役割を果たしていると考えられており、エムドゲイン【○!R】が再植歯のセメント質形成を促進するとの報告もある。そこで培養時にエムドゲイン【○!R】の添加をおこない、移植後の治癒に対するエムドゲインの影響を検索した。さらに移植後の観察期間を8過と延長した。培養せずにそのまま移植した場合、根面と既存歯周組織との間で骨性癒着や根吸収を生じたが、培養によって歯根膜細胞を露出根面に増殖した場合、8週の観察期間で、骨性癒着や根吸収はほとんど観られず、根面に新生セメント質を伴う結合組織性付着を形成するサンプルもみられた。しかしその形成量はサンプル間で差が著しく、培養歯根膜細胞の性質がサンプル間で異なる可能性が考えられた。一方、培養時にエムドゲイン【○!R】を応用したものは、すべてのサンプルに結合組織性付着を形成した。 以上の結果から培養歯根膜細胞は根吸収、骨性癒着を抑制する性質を持ち、結合性付着を形成する場合もあるが、ばらつきを生じる可能性が示唆された。エムドゲイン【○!R】は、培養歯根膜細胞の歯根膜形成能力を高め、移植後の治癒の再現性を向上することが明らかとなった。
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