2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌由来合成リピドAアナログによる歯周病治療薬の開発研究
Project/Area Number |
17592170
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
熊田 秀文 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60120995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70148021)
はい島 由二 国立医薬品食品衛生研究所, 療品部, 室長 (80228379)
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20247315)
高橋 祐介 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20267511)
天野 滋 明海大学, 歯学部, 助教授 (90167958)
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Keywords | 歯周病 / 内毒素 / 化学合成 / 生物活性 |
Research Abstract |
本研究では、Porphyromonas gingivalis(Pg)由来のリピドA(Pg-LA)の完全構造体である1,4'-Diphosphorylated 2-deoxy-6-O-[2-deoxy-2-(3-hexadecanoyliso-hepta-decanoylamino)-3-(3-hydroxyisopentadecanoyl)-b-D-glucopyranosyl]-3-O-[3-hydroxyhexadeca-noyl]-2-[3-hydroxyhexadecanoyl]-2-[3-hydroxyisoheptadecanoylamino]-a-D-glucose,その類縁体及び天然Pg-LA, Pg-LPSを用いて生物活性の比較を行った。但し、リン酸基や脂肪酸のアシル化の違いによるヘテロ-LA(類縁体)についてのデータは更なる追試が必要なので今回の報告から除外した。 Pg型合成リピドAの生物活性としては、本合成リピドAにはLPS不応答性マウスに対するマイトジェン活性およびTNF・とIL-6産生誘導能は全く認められなかった。一方、本合成標品はリムルステストとシュワルツマン反応およびLPS応答性マウスに対するマイトジェン活性およびTNF・とIL-6産生誘導能については対照の506とほぼ同程度の活性を示した。天然Pg-LAは、TLR2とTLR4の両活性を持つが、Pg型合成リピドは、506と同様にTLR4活性のみを示した。ヒト歯肉線維芽細胞からのIL-8産生誘導能においても、本標品は506と同様の活性を示した。 以上の結果から、Pg型合成リピドAの生物活性は大腸菌型合成リピドAと同様の傾向を示すことが明らかになった。今回のPg型リピドAの合成標品を用いた研究により、従来より報告されていたPg-LPSの特徴的な生物活性、即ち、低毒性にも関わらず、ヒト由来のTHP-1細胞やヒト歯肉線維芽細胞に対して強いサイトカイン産生誘導活性を示すこと、さらにはLPS不応答性C3H/HeJマウス細胞を活性化する事実は,本合成標品では確認することが出来なかった。 さらに、Pg LPSの破骨細胞分化促進作用は、sRANKL存在下でTLR4を介するシグナル伝達によって起きている可能性が示唆された。さらに、Pg LPS刺激でMyD88非依存的経路を介して誘導されてくるIFN-・の発現とMyD88依存的経路で誘導されてくるTNF-・の発現がほとんど認められなかったが、破骨細胞分化誘導に関与しているRANKLのレセプターRANKの発現が誘導されたことから、MyD88依存的経路とMyD88非依存的経路以外にRANK誘導に関与している重要なシグナル伝達経路が存在している可能性が考えられた。 最後に、リン酸基や脂肪酸のアシル化の違いによるヘテロ-Pg-LAが、Porphyromonas gingivalisリピドAの特徴的な活性を担っているとの報告も有るため、更なる詳細な検討が必要である。
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