2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織における破骨細胞形成抑制因子および促進因子の機能的役割り
Project/Area Number |
17592181
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
島津 篤 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10274094)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河本 健 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (50224861)
|
Keywords | 歯周組織 / 破骨細胞 / 歯周病 |
Research Abstract |
中高年が歯を喪失する原因の一つに歯周疾患(歯槽膿漏)が上げられるが、これらに対する予防法、治療法は十分確立されておらず充分な効果を上げていない。生涯自分の歯で噛める人を増やすためには、より効果的な予防法、治療法の開発、普及が望まれている。 近年、骨芽細胞自身が、破骨細胞形成抑制因子(Osteoprotegerin ; OPG)、破骨細胞分化促進因子(Osteoclast Differentiation Factor ; ODF)を分泌し破骨細胞形成を制御していることが明らかになり,最近私たちは、歯根膜細胞自身がOPGを発現し、破骨細胞の形成を抑制し歯周組織の機能維持に関与していることを示唆する知見を得た。また歯周病による炎症性骨吸収の主役は、生体内で唯一硬組織を吸収できる破骨細胞であるが,今回、破骨細胞前駆細胞RAW264.7を用いた破骨細胞分化系でPCRによる分化マーカーの発現上昇を検討したところ,ODF用量依存性にTRAP,カテプシンK,カルシトニンレセプター等の分化マーカーの発現上昇と共にNFATc1の誘導が認められた。さらに共刺激シグナルのうちOSCARの発現上昇が認められたが,PIR-A,PIR-B,TREM2,TREM3,DAP12の発現量については,変化が認められなかった。破骨細胞前駆細胞から破骨細胞の分化過程においてTRAP,カテプシンK,カルシトニンレセプター等発現量の上昇を伴うものとPIR-A,PIR-B,TREM2,TREM3,DAP12等の発現量に変化が認められないものが存在することが判明した。さらに最近,ヒートショックや細菌感染によって誘導されるストレスタンパク質MICAが,歯周組織に発現していることを明らかにした。これは歯周組織において,細菌感染によってストレスタンパク質MICAが誘導され,破骨細胞の分化誘導の端緒として機能している可能性を示唆するものと考えている。
|