2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17592196
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
齋藤 やよい Tokyo Medical and Dental University, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (40242200)
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Keywords | 社会人大学院生 / 看護教育 / 学習上の困難 / 大学院教育 / アンドラゴジー |
Research Abstract |
1. 社会人大学院生の学習上の困難カテゴリー これまでに帰納的質的分析法によりカテゴリー化した社会人大学院生の学習上の困難カテゴリーを、7大学院に在籍する博士前期課程社会人大学院生32名にフィードバックし、記録単位、サブカテゴリー、カテゴリーの信頼性と妥当性をスコットの式により検証した。その結果、信頼係数は72.3%となり、看護学分野で基準とする70%を越える信頼性が確保された。コアカテゴリーは、対教員の問題と学生自身の問題、学習環境の問題に大別され、特に(1)院生と教員の現状認識のズレと(2)ゴール認識のズレ、さらに(3)現状とゴールの差を埋めるエネルギーの方向のズレが生じた時に、困難感が発生していることが明らかになった。 2. 特別研究指導に当たった教員の指導上の困難カテゴリー 大学院生の特別研究を担当した教員のうち面接調査に同意した7大学院17名の教員を対象に面接調査を行い、教員の指導上の困難をカテゴリー化した。教員には従来の学部教育に加えて大学院教育を行うという負担感増の認識が高く、有限の時間をどのように配分して大学院教育に充てるかという共通の困難があった。また、対社会人という対等な立場と対学生の指導者としての立場の間で葛藤があり、コミュニケーションの不足や仕事を理由に指導を中断された時の失望感や挫折感、あきらめ感を受容しながら、学生の権利の主張や急なスケジュールの変更に困惑し、一方で学習継続のために忍耐強く待ち、叱咤激励し、勤務先との調整を行なうなど、一般学生で遭遇しなかった新たな困難の存在が明らかになった。
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