2005 Fiscal Year Annual Research Report
褥瘡治癒促進に向けた看護技術の開発-動物モデルを用いたずれ力の実証-
Project/Area Number |
17592199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 金沢大学, 医学系研究科, 助教授 (00203307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 弘美 東京大学, 医学系研究科, 教授 (50143920)
中谷 壽男 金沢大学, 医学系研究科, 教授 (60198124)
北川 敦子 東京大学, 医学系研究科, 助手 (80343185)
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Keywords | 褥瘡 / 難治性潰瘍 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
ガイドラインにそった褥瘡ケア基準が実施されている病院にて褥瘡の治癒過程の実態を調査した。その結果、ケア基準実施1ヶ月が経過しても、治癒しない褥瘡は全146部位中50部位(34.2%)であった。治癒遅滞褥瘡の深達度は、Stage II(NPUAP分類)が58%と最も多く、発生部位は足部が最も多く、ついで仙骨部、背部であった。Stage IIの褥瘡治癒過程は創または創底から表皮細胞が分裂増殖し、治癒する。遅滞するのは、何らかの要因で表皮化の機序が阻害されているためと考える。 上述の遅滞する治癒過程を経時的に組織学的に検討する目的で、ラットを用いて表皮化が遅延する創傷モデルの作成を行った。その結果、肉眼的に創縁皮膚が浸軟し表皮化が起こらない創傷モデルの作成の可能性が示唆された。 われわれの研究室でヒトの難治性褥瘡を対象とした組織学的検討では、以下の所見が得られている。(1)錯角化を伴った過角化と表皮層の肥厚、(2)好中球を主体とした炎症細胞の浸潤を伴ったフィブリン様壊死物質の存在、(3)まばらな膠原線維、である。さらに免疫染色学的所見からは、正常な創傷治癒過程では、表皮化の際に、角化細胞の遊走の下層にフィブロンネクチンやIV型コラーゲンを認める。また、これらは角化細胞が遊走する先端に確認される。一方、表皮の伸展が停止した際の結合組織では、これらフィブロンネクチンやIV型コラーゲンは認められなかった。 次年度は、このモデルの妥当性を検討する目的で、ヒトの難治性褥瘡の組織像との比較を実施予定である。さらに、妥当性が確認されれば、経時的に組織学的検討を実施予定である。
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